身体のプロに訊く「なぜメッシはフェイントなしで抜けるのか」

柔軟性の低さをカバーする基本スペックの高さ

 正直なところ、身体的な弱点を探すのが難しい選手です。強いていうならば、柔軟性の低さでしょうか。ネイマールのような柔軟性は、メッシにはありません。バランスを一度崩すと、それを取り戻すのは苦手だと思います。意外と重心は前のほうにあり、猫背気味で、頭が前に出ているという特徴があります。

 メッシを倒すなら、背中や首の上を後ろから小突くことで、態勢を崩せはするでしょう。しかし、先ごろから述べているように、尋常ではない反応速度があります。小突くといっても、それは「彼の身体に触れることができるなら」の話。それほど、メッシの基本スペックは図抜けているのです。

 これは技術面の話になりますが、ドリブルの時に軽くバックスピンを掛けているのもポイントですね。メッシのドリブルは、ボールと自分の身体との距離が非常に短く、タッチ数が多いです。常に自分の周囲にボールを置き、軽くバックスピンを掛けてボールが足元に戻ってくるようにしています。「足に吸い付くような」と表現されるドリブルの正体はこれです。

 

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