現地評価が高まる鎌田、ドイツの“強度”にもアジャスト 「いろいろな可能性が未来にある」
ELプレーオフのストラスブール戦で1アシスト、フランクフルトの本戦出場に貢献
プレシーズンで活躍した選手は、ブンデスリーガ開幕前に「今季ブレイクを果たしそうな注目選手」として地元メディアで取り上げられる。だが、いざリーグ戦が始まると、目に見えて激しさの増すプレッシャーとストレスのなか、自身のパフォーマンスを存分に発揮することができずに、気が付くとスタメンから名前がなくなるというケースが珍しくない。厳しい世界だ。
そうしたなか、順調に評価を高めているのがフランクフルトのMF鎌田大地だ。ここまで公式戦のほとんどでスタメン起用され、試合を重ねるごとに存在感は確実に増している。現地時間8月29日に行われたUEFAヨーロッパリーグ(EL)本戦出場権を獲得したストラスブール(フランス)とのプレーオフ第2戦(3-0/2戦合計3-1)でも、好プレーを随所で披露し、ファンからも多くの拍手を受けていた。
この試合、2戦合計での逆転ゴールとなった後半15分のMFフィリップ・コスティッチの直接FKを獲得したのは鎌田だった。ペナルティーエリアすぐ外でボールを引き出すと、柔らかな身のこなしで後ろからチャージに来る相手DFをかわし、ファウルをもらった。
そして6分後には、貴重なチーム3点目をアシスト。ペナルティーエリア内左サイドでパスを受け、スムーズに前を向き縦方向へのドリブル突破で相手DFの一歩前に出ると、正確なゴール前への折り返しでDFダニー・ダ・コスタのゴールを演出した。ボールを持った時だけではなく、何度もタイミング良く相手サイドバック裏のスペースに走りこんで起点を作ったり、前に急ぎがちになっていた攻撃にタメをもたらしたり、守備でも休むことなく相手にプレスをかけ続けていた。
鎌田は18日のブンデスリーガ開幕戦ホッフェンハイム戦(1-0)後に、ドイツにおけるプレー強度の高さを改めて感じた一方、試合を重ねていけば慣れていくことができると話していたが、実際にこの10日あまりでアジャストしてきている。
中野吉之伴
なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。