「全然やれる」 鎌田大地、ブンデス復帰戦で抱いた自信と迫り来る“競争激化”の予感

元オランダ代表FWドストの獲得間近、攻撃陣の競争激化か

 戦力としては確かに数えられているが、ここからは攻撃陣の活躍・結果が問われる。そして間違いなく、前任者との比較が常についてくるだろう。それくらい昨シーズンのFWルカ・ヨビッチ(→レアル・マドリード)、FWアンテ・レビッチ、FWセバスティアン・アレ(→ウェストハム)による攻撃の破壊力は凄かった。

 現在、フランクフルトはFWの補強に動き出しており、スポルティングCPの元オランダ代表FWバス・ドストの獲得間近とされている。アディ・ヒュッター監督はホッフェンハイム戦後の記者会見で、「移籍はまだ決まっていないので、すぐ決まることを祈っているし望んでいる。ボールキープができて、ゴールも奪える。(フィリップ・)コスティッチが素晴らしいプレーを見せているだけに、ペナルティーエリア内で仕事ができる選手が来てくれたら、彼のセンタリングが武器になるはずだ」と期待を口にしていた。

 ドストのようなFWの加入は、チームにとって間違いなく補強になる。レビッチは得意なシャドーストライカーのポジションでプレーできる。ただ、そうなるとオフェンスの残り枠は1つ。そこを現地点ではMFミヤト・ガチノビッチと鎌田が争うことになる。あるいはFWゴンサロ・パシエンシア、FWデヤン・ヨベリッチが前線で起用され、レビッチがトップ下という可能性もある。それだけに鎌田には、ゴールやアシストという数字に直結するプレーやそれを導くプレーが求められる。

「チームとしては去年よりいい順位だったり、結果を残したいと思っています。去年活躍したFWが2枚(ヨビッチとアレ)いなくなって、新しい選手、僕たちが同じくらい活躍しないとダメだと思っているので。しっかり攻撃で結果を出していけば、彼らに追いつけると思う。フランクフルトで試合に出るというのは簡単ではない、厳しい世界なので、ここでポジションを取っていけば、試合もね、結果を残しているということになると思うので。このチームでまずはポジションを取っていきたいですね」

 自分の立ち位置はよく分かっている。厳しい戦いであることは重々承知、それは同時に大きなチャンスでもある。それをつかみきるために、鎌田は走り続ける。

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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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