「全然やれる」 鎌田大地、ブンデス復帰戦で抱いた自信と迫り来る“競争激化”の予感
ホッフェンハイムとの開幕戦に先発出場 ブンデス特有の厳しさに向き合う
フランクフルトの日本代表MF鎌田大地は、18日のブンデスリーガ開幕戦ホッフェンハイム戦(1-0)でスタメン出場を飾り、後半26分までプレーした。同3分には相手の元ドイツ代表MFセバスティアン・ルディの背後を取り、鋭いステップで相手DFを1人外して右足シュートに持ち込んだ。シュートはGKオリバー・バウマンの素晴らしい反応に遭いゴールとはならなかったが、ファンからは大きな拍手が送られていた。2年前、ドイツに渡った年にも開幕スタメンを果たしていたが、その時とは自身の感触もチームメートからの信頼も違う。
「2年前は開幕スタメンに、自分自身もビックリしていた部分がある。練習でもチームにあんまりついていけてないなというイメージがあった。今年の開幕戦は、ずっとプレシーズンも良かったと思うし、自分自身もこのチームで全然やれると思いながら臨んだ。気持ちの分では違うかなと思います」
手応えはあった。前述のシーンの他にも、先制点につながるCKはスペースに好タイミングで走り込んだ鎌田のフリーランニングから始まった。潰しにくる相手をはねのけて、ボールをキープして味方につなげるシーンもあった。地元紙の評価も悪くはない。期待は間違いなくかけられている。
一方で、昨季シント=トロイデンでプレーしたベルギー1部リーグとは異なる、ブンデスリーガ特有の厳しさと改めて向き合った試合でもある。
「まあ強度もあったし、足の出方だったりも変わってきてるし。やっぱね、(ベルギーとは)違うなと思いますけど」
久しぶりの感覚だったのだろう。取られないと思ったところで足が出てボールに触られてしまうことがある。後ろからのチャージを受けて、ボールを失うシーンもあった。プレシーズンでは結果を出してきたし、ミスらしいミスもなくプレーができていた。だが、ブンデスリーガとなると相手からの当たりの強さも、根こそぎボールを奪い取ろうとする足の出方も違ってくる。それを認めながらも、そこでもできることを証明していかなければならない。
「今までの試合ならもっとできていたと思う。ボールも今日は失う回数が多かったので。このチームでは僕は上手く、もっとキープできないとダメだと思うし、まだまだ向上していかないとダメだなと思います。やっていける自信もあるので、しっかり練習からまたやっていけたらいいなと」
中野吉之伴
なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。