“神の子”トーレスは鳥栖に何をもたらしたか? 誰もが認めた衝撃と「一流の振る舞い」
フェアプレーのなかで見せたプロフェッショナルとしてのあるべき姿と勝利へのこだわり
練習や試合などサッカーに取り組む真摯な姿勢は、トーレスを語る時に誰もが口にする。元日本代表であり、日本プロサッカー選手会会長のMF高橋秀人もその1人だ。さらに高橋秀人はこう付け加える。
「プロとしてあるべき姿を示し続けてくれた。例えば、審判にフェルナンドが意見を言いに行くことが顕著に見られました。これはサガン鳥栖のユニフォームを着た以上、勝つために審判をリスペクトしたなかで、『今のジャッジは違うんじゃないか?』と毅然とした態度で物を言うというのは、サガン鳥栖に欠けていた部分でした。それに、ボールを絶対に取られないとか、ボールを取られたらファウルをしてでも取り返すとか、本当にサッカー選手として当たり前のことですけど、時間の経過やマンネリ化が起きるなかでそれを示し続けるのはすごく難しい。本当に彼はそれを示し続けてくれた」
これだけでなく、トーレスは今後の高橋秀人にも影響を与えている。
「フェルナンドがいなくなった後に、『この局面でフェルナンドだったらこうするだろう?』と自分の中で思い描きながら、これからの僕のサッカー人生における指標として、サッカーをしていくだろうと思います」
数々の経験を積んできた高橋秀人のサッカー観にも影響を与えるトーレスだけに、若い選手への言葉は絶大だ。高校3年生でありながらプロ契約を結んだ松岡大起は、トーレスからこんな言葉をかけられたという。
「(周りから)どんなに言われてもプレーするのは自分。自分を信じて、自分が思ったことをやるべきだ。ミスをしてもいいし、ミスの数だけ成長できる。ミスを恐れずやってほしい」