大迫勇也は「新しいクリエイティブな選手」 ブレーメン監督&独誌が“重要性”を強調
独誌は組織的な攻撃が機能していた点を評価 「コンビネーションの起点は大迫」
だがコーフェルトは首を横に振りながら、「それは違う。マックスがどうという話ではない」と即座に否定する。
「マックスは確かにゲームを作り出す能力に長けた素晴らしい選手だった。だが何から何まで、これまでウチにいた選手に要因を求めるのは間違っている。マックスはゴール前で特別に冷静で狡猾だった選手ではないはずだ。我々チームが抱えている問題はそこではない」
自分たちにまだ問題があることは認めるが、それを別のテーマとすり替えられて語られるのはよいことではない。落ち着いた口調で丁寧に話すコーフェルトはそう伝え、「ヨナサン(エッゲシュタイン)、ミロ(ラシツァ)、ユウヤの3人は相互に補完し合いながらチャンスを作れていた」と、この日スタメン出場した3人を評価していた。
ドイツのサッカー専門誌「キッカー」は、「ポジティブに捉えられるのは、志向するプレースタイルが機能していた点だ。相手を押し込み、そのなかで偶然ではなく、自分たちのコンビネーションからチャンスを作り出す。そのなかで起点となるのがユウヤ・オオサコだ。ブレーメンの攻撃にスイッチを入れることができる選手で、ピッチ上のあらゆるところに顔を出した。前任のマックス・クルーゼとはまた違ったプレースタイルを持つ、大迫という新しいクリエイティブな選手をブレーメンは見つけ出した」と論じていた。
大迫は確かにゴール、アシストを決めることができなかった。だが動きの質自体はとてもいい。ボールを持って相手をいなすだけではなく、相手DFを外してボールを受けるための動き出しが秀逸だ。
中野吉之伴
なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。