南米開催の大会でドイツが欧州勢初の覇者となれるか 自信を見せるレーブ監督と侮れないアルゼンチンの個の力
メッシ以外にキーとなりそうな選手は
その他のタレントも強烈だ。個の力ではドイツを上回るかもしれない。怪我から復帰し、先発の可能性が高いセルヒオ・アグエロは、やや不利な体勢でボールを受けても失わないキープ力があり、個人で枠内シュートまで持って行ける選手。ストライカーのゴンサロ・イグアインは高いテクニックを持ち、シュートのアイディアも豊富だ。ただ、アンヘル・ディ・マリアは怪我から復帰しているものの、万全ではないためベンチスタートの可能性がある。縦へのドリブルでチームに推進力を与え、ボールを前線に運ぶ役割を果たす彼の不在はオランダ戦を見る限り、大きいと言わざるをない。
守備に関しては組織的な形はとらず、局面に対応する。アンカーの位置であらゆる攻撃をストップするハビエル・マスケラーノに守備面で依存する部分が大きい。攻守共に個の力をベースに解決を図る。そこにメッシを中心としたタレントたちの即興性で違いを生み出していくのがアルゼンチンのスタイル。ハマった時には止められないが、その日のコンディションや相対するチームのスタイルによっては沈黙してしまうリスクがある。単発のアタックに終始するようでは、ドイツのコレクティブなサッカーの餌食になるだろう。
南米開催のワールドカップでは、過去に欧州のチームは優勝経験がないが、ドイツのヨアヒム・レーヴ監督は、「われわれは歴史をつくることができる。何も恐れてはいない」と自信をみせる。そして、アルゼンチンのアレハンドロ・サベーラ監督も「ドイツは非常にパワフルなチーム」とドイツの強さを認めている。
だが、今大会は多くのポゼッションサッカーがショートカウンターの餌食となった。ドイツとて、アフリカの2チームやアメリカには苦戦を強いられた。アルゼンチンが無策で決戦に挑むとは考えられない。ドイツ有利と見るが、アルゼンチンが覆す可能性も十分ある。ここまで多くのドラマチックな試合があっただけに、劇的なファイナルを期待したい。
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サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
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