鎌田大地、フランクフルトで「見られ方が変わった」 指揮官は開幕戦“キーマン”に指名
昨季はベルギーのシント=トロイデンで16得点 ヒュッター監督も攻撃力に期待
フランクフルトは現地時間15日に行われたファドゥーツ(リヒテンシュタイン)とのUEFAヨーロッパリーグ(EL)予選3回戦の第2戦を1-0で勝利し、2戦合計6-0でプレーオフへと駒を進めた。アウェーでの第1戦に5-0と大勝しており、また中2日でブンデスリーガ開幕節のホッフェンハイム戦(18日)があるため、特に主軸となるMF長谷部誠、DFダビド・アブラハム、MFフィリップ・コスティッチ、FWアンテ・レビッチの4人はメンバーにも入れずに完全休養を与えるなど、アディ・ヒュッター監督は大幅なローテーションを敢行していた。
日本代表MF鎌田大地は、この試合ベンチスタートだった。現時点ではレギュラー組に数えられている。今夏ベルギーのシント=トロイデンへの期限付き移籍から復帰後、当初は放出濃厚と思われていたが、プレシーズンで好プレーを披露してヒュッター監督の信頼を勝ち取った。
この日は後半27分からローデと交代でピッチに登場。ファドゥーツ戦のフランクフルトは、普段出場していないサブメンバーが多かったことで慌てた攻撃が多かったが、鎌田はスペースを見つけながらパスを引き出し、攻撃にタメと変化を加えていく。
同34分には中盤右サイドでボールを持つと、FWゴンサロ・パシエンシアとのワンツーでフリーで突破。そこからボールを運ぶと、ゴール前で待つFWデヤン・ヨベリッチへグラウンダーのパスをピタッと送る。ダイレクトシュートはGKのファインセーブに遭い、追加点とはならなかったが、行き詰まっていた攻撃に確かなルートを作り出した。
昨シーズンのフランクフルトはFWルカ・ヨビッチ(現レアル・マドリード)、レビッチ、FWセバスティアン・アレ(現ウェストハム)という強力なFW陣の得点力こそが最大の武器であり、生命線だったが、そこを押さえられた時の次の選択肢がなかった。良くも悪くもこの3人に依存するしかなかったわけだが、今季はヨビッチとアレがすでに移籍。レビッチの去就も定かではない。
中野吉之伴
なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。