ポルト中島翔哉、「欧州の頂点」に最も近い日本人 “マジシャン”に残された時間は少ない
90分間の5分だけ輝く選手では、ポルトの選手としてはやっていけない
ポルトは伝統的に手堅いイメージがある。現在のセルジオ・コンセイソン監督も、攻守にハードワークを要求するタイプのようだ。中島はヤシン・ブラヒミ(アル・ラーヤン)の後釜として左サイドでプレーするはずだが、持ち前のドリブル突破など攻撃力が期待される一方で、守備もしっかりやれるかどうかがポイントになるだろう。
ポルトガルリーグはポルト、ベンフィカ、スポルティングCPの3大クラブとその他の格差が大きいので、国内リーグに関して守備力はそれほど問われないかもしれない。しかし、優勝を争うライバルとの重要な試合やヨーロッパのカップ戦では守備的な展開も想定される。90分間の5分だけ輝く選手では、ポルトの選手としてはやっていけない。
中島はボールを持てば“マジシャン”だ。ただ、それで守備を免除されるのはリオネル・メッシ(バルセロナ)やクリスティアーノ・ロナウド(ユベントス)のような年間40得点も叩き出す特例だけ。中島が世界のスターになれるかどうかは、ポルトでのあと数年にかかっている。
(西部謙司 / Kenji Nishibe)
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西部謙司
にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。