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岡崎慎司と“滝二の先輩”の挑戦 独6部バサラ・マインツ、5年連続“昇格”と実現し始めた夢
ドイツ4部からJ1湘南へ移籍した澤田 「私たちにもリアリティーが出てきた」
ドイツ下部リーグからプロへ――。そうした話も全くの夢物語ではなくなっている。そのロールモデルとなるような日本人選手がついに現れたのだ。それが、ドイツ4部キッカーズ・オッフェンバッハからJ1リーグの湘南ベルマーレへの移籍が決まった澤田恒だ(7月10日に加入発表)。
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澤田はバサラ・マインツ所属ではなかったが、じつは山下が個人的にサポートを続けてきた選手の1人。ドイツへ渡った時から契約の際に山下が澤田とクラブとの間に入り、言葉の面などで支えた。その成長を間近で見てきただけに、感慨深さはひとしおだ。
「澤田は本当に模範的な例です。彼は大学卒業後、まだ無名だった時にドイツに来て、最初のシーズンは6部でプレーしました。1年目から5部でプレーできるチャンスもあったんですけど、私は先を見据えて『一つカテゴリーを落としてでも、王様になって目立った活躍をしたほうがいい』とアドバイスをしました。そして次のシーズンには5部、そしてまた次に4部へと移籍して、3シーズンを過ごしました」
山下は、プロを目指して日本から海を渡る選手を多く見てきた。選手の多くは何部リーグでプレーするのかという数字ばかりを気にし、自分の成長という視点が抜けていることが多かったという。その点、澤田のサッカーに取り組む姿勢は他の選手とは違っていた。
「彼は私の助言もすんなりと受け入れていましたし、普段から自分が成長できるためのヒントを探していました。彼が日本に帰ってからの荷物整理などは私がしているんですが、彼のアパートにはたくさんの本がありました。身体のことやトレーニング方法、メンタルなどの本ばかり。そうやって必要な知識を増やして実践し、何が自分に合うのかを精査しているような選手です。私たちのようにアマチュアから這い上がっていこうとすれば、彼のように日頃からサッカーのことを考えて生活できるようなレベルにならないと厳しい世界なんです」
澤田はドイツ6部を出発点にして、プロになるという夢を叶えた。身近な選手が、自分たちのクラブが目指すルートを辿っている。
「澤田のような選手が出てきたおかげで、私たちのチームにもリアリティーが出てきたと感じています」
次は、バサラ・マインツの番だ。
「私は日本で芽が出なくて、それでも自分はやれると思っている選手にチャンスを与えられるようなクラブにしたいと思っています。もっとはっきり言えば、私たちのクラブからプロ選手がどんどん出てくることを目指したい。バサラ・マインツといえば『成長できるきっかけがつかめる場所』とか、『プロになれる可能性が上がる』というような位置づけのクラブになれたらいいなと思います。笑われるような話かもしれないですけど、バサラ・マインツでプレーしたことがある選手が将来、日本代表に入るようになってほしいと考えています」
未来の代表選手が巣立つクラブへ――。岡崎と山下が手を組んで生まれたバサラ・マインツの挑戦はまだまだ序章に過ぎない。
(石川 遼 / Ryo Ishikawa)