現役引退エブラ、人種差別発言で因縁のスアレスに言及 「パンチしたいと思ったけど…」

(左から)ユナイテッド時代のDFエブラ、リバプール時代のFWスアレス【写真:Getty Images】
(左から)ユナイテッド時代のDFエブラ、リバプール時代のFWスアレス【写真:Getty Images】

人種差別発言、握手拒否と因縁のスアレスに対して「心の中にヘイトはない」と主張

 元フランス代表DFパトリス・エブラは7月29日、38歳での現役引退を発表した。マンチェスター・ユナイテッドの元主将は、かつてウルグアイ代表FWルイス・スアレス(バルセロナ)の人種差別発言を端に発する“握手拒否事件”が話題となったが、「スアレスを嫌いになったことはない」と過去の因縁について振り返っている。英紙「デイリー・メール」が報じた。

 2011年10月に行われたプレミアリーグ第8節の試合中に、当時ユナイテッドに所属していたエブラは当時リバプールのエースだったスアレスから黒人選手を侮蔑する人種差別発言を受けた。スアレスにはこのあと8試合の出場停止が下され、11年12月から12年2月までピッチを離れていた。

 しかし、処分後初のスタメン出場となった12年2月のユナイテッド戦で、騒動が勃発する。人種差別発言に悪意はなかったと弁明していたスアレスだが、エブラとの試合前の握手を拒否。これにエブラが怒りを露わにする場面もあった。のちにスアレスは握手拒否について謝罪したが、2人の間には大きな溝が生まれたと考えられていた。

 エブラはスアレスとの衝突があった当時には死の脅迫手紙も届いていたと告白。自宅には24時間体制で警備をつけた時期もあるなど、家族にも不安が及んだ。しかし、エブラは「僕にはスアレスがレイシスト(人種差別主義者)なのか分からない。彼の家族も知らないし、バックグラウンドも知らない」としたうえで、「彼(スアレス)のことは嫌いではないし、嫌いになったこともない」と人種差別を受けた相手に対する意外な思いを打ち明けている。一時的な怒りはあったとはいえ、それ以上の“ヘイト”の感情は持つことはなかったという。

「その瞬間は彼にパンチしたいと思ったけど、誰かを嫌うということは僕には不可能なんだ。僕の心の中にヘイトはない。何かリアクションすることはできたけど、ヘイトはあまりに強すぎる言葉だ」

 さらにエブラは「もしも僕がベストな選手を集めたチームを作るとしたら、スアレスはその内の1人になるだろう。彼は現時点で世界最高のストライカーだからね」と続け、いち選手としてのスアレスを称賛していた。

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