【W杯詳細分析・ドイツ-ブラジル】王国ブラジルに何が起きたのか? 1-7の悲劇的な大敗で浮き彫りになるドイツの完成度の高さ 

モビリティの高いドイツのパスワーク

 前半それぞれのチームがどのようにボールを回していたのかを見てみたい。

ブラドイ表

 この表は両チームの中盤より前の選手が前半何人の味方から何本のパスを受けたかをまとめたものだ。ボール回遊率というのは6人の選手がそれぞれ自分を除く全選手からパスを受けた場合を100%として算出したものだ。この数値が高ければ高いほど各選手がいろいろな選手からパスを受けていることになる。ブラジルは6人の選手が平均で一人7人(回遊率70%)からのパスを受けているのに対し、ドイツは平均で8人(85%)を超える結果となった。さまざまな選手からパスを受けているということは、つまり一人ひとりがさまざまなエリアに顔を出していることにつながる。そして、パスの総本数にも大きな差があった。ブラジルは6人の選手の中で20本以上パスを受けていたのはMFオスカルとMFルイス・グスタボの2人だけだったが、ドイツはFWミロスラフ・クローゼ以外全員が20本以上、MFトーマス・ミュラーとMFトニー・クロースに至っては30本以上のパスを受けていた。

 ブラジルは前半で210本のパスが回っていたので、そのうち45%が前の6人で回っていたことになる。一方ドイツは249本のパスのうち150本、60%が前線でボールを動かしていたことになる。

 さまざまな出どころからのボールを受けるためには頻繁にポジションを変える必要がある。そのモビリティ(流動性)こそがこの日のドイツの強さで、それに対応しきれなかったことがブラジルの大敗の一つの要因だ。

 そのモビリティを生かすために運動量は欠かすことができない。マイボールの際、ボールを追い越す動き、左右に入れ替わる動きは守備時に自陣に戻って陣形を整えるために大きな体力的負担を強いる。

 実際ドイツはブラジルがボールを保持している時に相手の走行距離42,682mに対し47,832mと12%多く走っていたことになる。一方ドイツの攻撃時の走行距離は46.599mでブラジルより10%多いものだったが、その際ブラジルは44,125mと相手の95%しか走れていなかった。(データ出所:FIFA.com)

 

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