16年の時を駆け抜け、引退の道を選んだ鈴木啓太 「浦和の男」が最後に伝えたかった思いとは
他クラブからオファーは届いたが…
浦和に関わる誰もが、セレモニーでの鈴木の言葉を聞き、様々な記憶を頭の中で駆け巡らせながら、一時代を築いた名ボランチの退団を惜しんでいた。そして次の瞬間、鈴木は「ここで、みなさんに報告があります」と切り出した。
「私、鈴木啓太は、今シーズンをもって、引退することを決断しました。どうしても、自分の言葉で、ファン・サポーター、仲間、クラブスタッフ、浦和レッズに関わってくださっているみなさま、僕の愛する人たちに、直接伝えたくて、この場所で発表することにしました。サッカー少年が、プロサッカー選手として成功することを夢見て静岡から出てきましたが、いつからか『お前は浦和の男だ、俺たちの鈴木啓太だ』と、認めてもらえたことが本当に嬉しかったです。誇らしかったです」
今シーズン限りでの現役引退を、自らの言葉で発表したのだ。
実際に、鈴木の元には他クラブからのオファーが届いていた。自身も「引退するのか、オファーをいただいたチームでプレーするのか迷った」と、その存在を認めた。10月に自身のメッセージとして浦和を退団することを発表した後、「いろいろなメッセージやリアクションがあった中、毎日いろいろと考えていく中で、“ここ”でやめたいという気持ちになって、徐々に気持ちが固まった」と、決断に至ったことを話している。
それが、満員の埼玉スタジアム――。“ここ”に集った浦和サポーターに伝えた言葉につながる。
「僕の心には、浦和以上に、愛せるチームがありません。だから僕は、プロサッカー選手として、浦和の男で始まり、浦和の男で終わります――」