16年の時を駆け抜け、引退の道を選んだ鈴木啓太 「浦和の男」が最後に伝えたかった思いとは

チームの勝利を追い求めた不変の姿

 そのわずかに2分後、交代出場していたMF青木拓矢にゴールが生まれた。もしかしたら、自分が立っていたかもしれないボランチのポジションに入った選手だ。だが、ゴールが決まった瞬間、鈴木はベンチから立ち上がって満面の笑みを浮かべながら拍手を送っていた。

「とにかくチームのために戦ってきたし、戦いたい。自分が試合に出ても出なくても、チームが勝てばそれでいいと思ってやってきた。状況が変わっても、僕自身の気持ちは変わっていません」

 試合前日にそう話していたとおりの姿が、そこにはあった。これでスコアは4-2になり、浦和の勝利がグッと近づく。7分後に最後の交代枠でピッチに入った梅崎がチーム5点目のゴールを決めた時も、鈴木は4点目の時と同じく満面の笑みだった。

 この姿勢は、サッカー選手・鈴木啓太としての矜持だ。

「僕が自信を持って言えるのは、チームのために、勝利のために、仲間のために全力で走ってきた。僕は下手だけど、そこは負けないと思ってずっとやってきた」

 そして、退団セレモニーへ。

 同じ1981年生まれのMF阿部勇樹とDF那須大亮が花束を持って登場し、抱き合った。そして、鈴木は浦和で過ごした16年間の感謝の思いを語り始めた。

 

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング