首位マンC撃破の革命家クロップはいかにしてリバプールを変えたのか? 

「マンC対策」で見せた知将ぶり

 クロップ監督の巧みな戦術は攻撃面のみに留まらない。この試合でマンCの両サイドを務めたのはMFヘスス・ナバスとMFラヒーム・スターリング。両者ともスピードを武器に縦へと推進するアタッカーだが、クロップ監督は、この両選手が持ち場でボールを触った際に、必ず2人で挟み込むプランを一貫した。サイド攻撃を軸とするマンCを徹底的に分析したクロップ監督は、見事にリーグ最高級の攻撃陣を沈黙させることに成功した。

「相手を分析し、最大の強みとともに相手が嫌がることは何かを見つけることが大事だ。そして、それを実現させたよ。相手が強いほどこれは重要なことだ。シティのようなイングランドのベストチームならば、なおさらね」

 試合後、クロップ監督は熱意に満ちた感情的な面だけでなく、冷静に相手を緻密に分析し、それを実行に移す知将としての顔も覗かせた。

 それでも「高い位置で奪えばゴールに近い」というクロップ流の信念こそが、リバプールに染み付いたサビを取り除きつつあることに間違いはない。裏への抜け出しやスペースへの走り込みが決定的に欠けていたチームを、たった1ヵ月間ほどで生まれ変わらせてみせた。失墜した名門で吹き荒れるクロップ革命は、まだ始まったばかりだ。

【了】

城福達也●文 text by Tatsuya Jofuku

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

 

 

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