首位マンC撃破の革命家クロップはいかにしてリバプールを変えたのか? 

前任ロジャースとの決定的な違い

 ブレンダン・ロジャース前監督は、全体をコンパクトに保ちながら複数人が連動し、ボール保持に重きを置くサッカーを展開したが、ほとんどが足下へのパスだったため、敵陣での迫力ある攻撃は皆無に等しかった。ゴール前の最終局面においては、2013-14シーズンはルイス・スアレス(現バルセロナ)の個人技に依存し、昨シーズンはコウチーニョのテクニックに頼り切り、安定性に欠けた。

 一方、クロップ監督は、ドルトムント時代にも真骨頂としていたハイプレスからショートカウンターを仕掛けていく「ゲーゲン・プレス」を、リバプールでも導入。初陣から見違えるほどの変化をもたらし、それまでの停滞感に染まったチームから「走るチーム」へと変貌させた。

 クロップ監督の目指すサッカーを象徴するシーンが、後半15分に垣間見ることができた。ハーフウェーラインでボールを奪うと、コウチーニョが左サイドを駆け上がるチャンにパスを送る。ジャンがそのまま左足でグラウンダーのアーリークロスを入れると、ニアサイドに走り込んだMFアダム・ララーナがDFを引きつけながらそれをスルー。ファーサイドに走っていたフィルミーノがフリーでボールを受け、GKとの1対1の局面を演出した。シュートこそ守護神ジョー・ハートの好セーブに防がれたものの、ハイプレスから連動性の高い速攻を繰り出し、マンCの守備陣を翻弄して見せている。リバプールはこれらのチャンス以外にも、試合を通して計4度、抜け切れば決定的な場面となったオフサイドがあった。これもクロップ政権発足前には見られなかった姿だ。

 

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