浦和黄金期を支えた鈴木啓太 16年間の万感の思いを胸に、リーグ戦ラストゲームへ
「勝って送り出す」と選手は団結
試合後には、退団セレモニーも予定されている。浦和広報によれば、試合前日の21日15時30分の段階で、チケットは52,142枚が販売されている。残券も残りわずかとなり、ホーム・埼玉スタジアムで満員の浦和サポーターが、鈴木を見守ることになる。そうした大観衆の中で、誰よりも多くの試合を経験してきたのが鈴木だ。そうした環境で戦うことに対し、熱い思いがある。
「浦和の場合は、サポーターは『見てくれている』という表現は違いますよね。一緒に戦ってくれている人たちの思いや情熱を、ピッチに立つ選手が表現することができる。その思いを力に変えて戦うと、僕はずっとそういう気持ちでやってきた。とにかく明日のゲームに勝って一緒に結果を待ちたいですし、その後にチャンピオンシップはありますけど、目の前の試合に勝つことを求めてサポーターが来てくれると思う。順位も関わってくるけど、目の前の試合に勝つ。そうすれば、スタジアムに来て良かったと思ってもらえる。そういう気持ちで戦いたい」
明日のゲームで勝利した上で、広島が湘南に敗れれば浦和は逆転でリーグ年間1位の座を手にすることができる。その際の勝ち点は72だ。奇しくも、鈴木が中心選手として勝ち取った2006年のリーグ優勝を果たした際に記録した、クラブ最高勝ち点に並ぶことになる。
浦和の選手たちも、鈴木を良い形で送り出すことに団結している。日本代表DF槙野智章は「勝ってセレモニーと負けてセレモニーでは違う。昨年は坪井選手(慶介/現湘南)、一昨年は山田選手(暢久/現クラブスタッフ)のセレモニーを前に負けてしまった。申し訳ない気持ちが残っている。僕は移籍してきたけれども、鈴木選手はこのチームでキャプテンを務め、日本代表にも選ばれた選手。今季、このメンバーで戦ってきた力を出したい」と、勝利で送り出すことを誓った。