【奥寺康彦が直撃!】第2回|長谷部誠が解き明かす「欧州で生き抜く秘訣」
ドイツで好まれる日本人の気質
38年前、ドイツに渡って9シーズン活躍した“海外組のパイオニア”奥寺康彦と、昨シーズンのブンデスリーガでキャリア最多となる33試合出場を果たした“日本のキャプテン”長谷部誠が対談。「共通点が多い」という2人の話は多岐に渡った。
3回に分けてお届けする対談の第2回は、日本人選手がドイツで活躍できる理由について語り合う。ともにドイツで3クラブを渡り歩き、実績を積み重ねてきた秘訣はどこにあるのだろうか。
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長谷部 ところで、シャーフさん(昨季のフランクフルト監督)と奥寺さんは、ブレーメンで一緒にプレーされていたんですよね。
奥寺 彼とは、僕がブレーメンにいた5年間、一緒にプレーしていたよ。
長谷部 お二人のポジションはどこだったのですか?
奥寺 僕は、ブレーメンでの最初の2年間は右サイドバックをやっていて、3年目から左サイドをやるようになった。それでシャーフが右サイドバックとして出るようになって。
長谷部 僕がフランクフルトに来て、最初に監督と対面した際にスタジアムの観客席に座って2人で話をしたんです。その時に、シャーフ監督が「オレはオクデラと一緒にやっていたが、あいつは素晴らしい人間だった。彼から日本人のメンタリティーを学んで、それからは日本人を大好きになったんだ」と言ってもらえました。日本人に対してシャーフさんがすごく良いイメージを持ってくれていると感じて、僕はすごくうれしかったですね。だから、奥寺さんには感謝しています。
――長谷部選手は、これまでも奥寺さんらの名前を挙げ、たびたび感謝を口にしていますよね?
長谷部 どんな道でも、最初の道を開拓する人に凄さを感じますから。そういう意味で、奥寺さんは、草原の草をかき分け、僕たちが歩む道を作ってくれたということだと思います。
奥寺 それはうれしいねぇ。たしかに、開いたのは僕かもしれない。でも、これだけ多くの日本人が活躍しているのは、日本人でもドイツでやれるということを証明した、長谷部や香川(真司)や岡崎(慎司)などの頑張りのおかげだと思う。
――ドイツで日本人が活躍しやすい理由はどこにあるのでしょう?
長谷部 日本人とドイツ人のメンタリティーの関係性もあるのかなとは思いますね。
奥寺 ドイツ人は、日本人の気質を好きなのかもしれないよね。日本人は自分を持ちながらも、チームに貢献しようとする精神がすごく強い。ドイツ人選手でも「オレが、オレが」というタイプも多い。僕もそうだったのかもしれないけど、そういうところに日本人選手がポンと入ると、うまくクッション役になる感じはあるんじゃないかな。
長谷部 日本人でもそうですけど、チームに来て1年目で活躍できる選手は結構います。ただ、長く活躍できる選手を見ていると、やはり、チームのために自分を犠牲にできる資質や、チームに溶け込もうとする姿勢などをしっかり発揮できる人なのかなと感じます。