宇佐美貴史、2度目の欧州挑戦で得た“失敗”の意味 「清々しいくらいダメだった」理由とは?
再びぶつかった“壁”で求めたのは「爽快感」
「失敗して戻ってきたからと言って、『爽快感』を忘れたらあかんと思う。俺、逆に上手くいってる時こそ、慎重に、むしろちょっとネガティブに『俺、大丈夫か? このままいって』という感じになる。失敗した時、落ち込んだ時は上がるきっかけになる。失敗してネガティブになったら『失敗の意味』がなくなるから。その悔しさを欧州で晴らすことが理想形やとは思う。でも、自分は帰ってくることを決断して、次の成功をガンバで落とし込む。あのドイツ(アウクスブルク、デュッセルドルフ)での経験があったから、『こういう表現ができている』というのをガンバでできれば。(復帰を)喜んでくれる人も、ものすごく多いやろし、与える影響も大きい。そういう意味で『清々しいくらいダメ』と言ったかな」
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では、なぜ2度目のドイツでつまずいたのか。アウクスブルクでは11試合無得点に終わり、17年夏に2部のデュッセルドルフへ渡った。冬にはチームに馴染み、右ウイングの主力として出場。4試合連続ゴールを記録するなど、28試合8得点で昇格に貢献した。だが、ロシア・ワールドカップを経て戻ったチームでは、宇佐美の“居場所”は見当たらなかった。1部に昇格し、また戦い方を変えていたからだ。
「(ボールを)持たれて、持たれて、追い回して、というサッカーのなかで自分を輝かせるところで、つまずいた感は否めない。2部の時はもうちょっとリーグのレベルが下がって、自分たちがボールを保持できた。どれだけ(相手に)持たれても40%は持てた。でも1部に上がって、引いて全員で守って堅守速攻。自分は裏に飛び出して、というよりも、(ボールを)触りながら……というタイプやから、ギャップは生まれていた。しっかり後ろでファイトして体張って、という順応はできても、(カウンターで相手DFの)背後一本をつける選手のスピード感(で勝負するの)は、最後の半年間、この土俵で戦うとキツイなと思った」
もちろん、順応しようとした。ドイツへ渡ってから個人トレーナーと走り方の改革を行い、泥臭いプレースタイルを手に入れようと努力した。正しい走り方を身につけ、運動量増加を図った。昨年12月15日のフライブルク戦(2-0)では、走行距離11・28キロ、スプリント回数はチーム2位の40回。自分のプレースタイルとは程遠かったが、新たな自分を見つけることができた。それでも、葛藤から逃れることはできなかった。