リズムを変えた「成功率85%」のキラーパス 柏木はハリルJのレジスタになれるのか
大幅に減ったパス本数が示すもの
日本代表は9月3日に行われたホームでの一戦で、[表1]が示すとおり、79%という圧倒的なポゼッション率を誇っていたが、この試合では10%近く落としていた。日本代表のパス数は917本から690本と227本、25%も減少した。一方で、カンボジアのパス数は初戦(217本)と2戦目(220本)でほぼ変わらず、日本のパスの成功率もほぼ一緒(88%→87%)だった。
パスの数が大幅に減った理由として、おそらく日本の選手がボールを持っても出す場所がなく、結果、一人ひとりがボールを保持する時間が増えていたのだろう。また、総パス数が約25%減少したにもかかわらず、ロングパスの数が初戦の31本から50本に増加している。しかし、数は増えているものの、成功率が83.3%から56.9%と大幅にダウン。パスを出す場所が見つけられずに、縦へ放り込んだものの弾き返された結果だろう。
その他、ゴールに近づくプレーとしてPA(ペナルティエリア)へのパス数(103本→54本)とその成功率(59.2%→55.6%)、クロスの数(39本→25本)とその成功率(35.9%→20%)があるが、ともに2戦目のデータの方が悪い結果になっている。最後の仕上げとなるシュートの数(38本→25本)も同様に初戦よりも減少していたが、枠内シュート数(13本→12本)やPA内からのシュート数(23本→19本)はほぼ同数で、日本のゴール数は3点から2点に減った。
今回のテストを行った結果、日本の通信簿はどのように評価されるべきか? これらのデータを見る限り、「良くできました」と採点する教師はいないと思う。明らかな格下を相手に、試合を優位に進めることができなかったというのが客観的な評価だ。
しかし、サッカーの試合であるということは、最終的に相手よりも得点が多ければそれは勝利を意味する。格下相手に苦戦しながら、勝利につなげることができた要因はどこにあったのだろうか。