リズムを変えた「成功率85%」のキラーパス 柏木はハリルJのレジスタになれるのか
決して難解ではなかった「テスト」
11月17日にロシア・ワールドカップ(W杯)アジア2次予選、敵地でのカンボジア戦が行われた。4日前に行われたシンガポール戦では、日本代表の良い形が見えてきていただけに、今年最後となる日本代表の最終戦での期待は否が応にも高まった。
しかし指揮官は、今年最後の代表戦をより良い形で締め、お茶の間のファンを楽しませることよりも、これまであまり出場機会に恵まれていなかった選手たちのテストの場にすることを選んだ。テスト問題は決して難解なものではなかった。試験会場の環境が若干変わっていたとしても……。
試験相手と環境を簡単に整理しておこう。カンボジアは人口1500万人、GDP世界114位(2013年)、FIFAランキングは186位(2016年10月現在)、サッカー熱が高く、多くの香川、本田ファンを抱える国だ。アジアにおいて経済成長中で、サッカー人気が高いとはいえ、プレーヤー数、育成ノウハウなど日本とは比較にならない。
そして、今回の試合会場はカンボジア・オリンピックスタジアムで、人工芝のピッチだ。比較的新しい人工芝は、芝そのものよりクッションとなる黒いゴムのチップが多く散りばめられていて、若干足元が引っ掛かる感覚がある。また、浮き球のバウンドが少しイレギュラーな事もあるが、グラウンダーのパスにおいてはピッチの凹凸がない分むしろ正確なプレーが可能になる。
こうして整理してみると、今回の試験はかなり実力差のある相手とそれほど大きな影響を与えないコンディションで行われたことになる。ディスアドンバテージを強いて上げるとしたら、この時期の日本やヨーロッパでは考えられない30度を超える気温と、アジア特有の湿度の高さだろう。試験会場のエアコンが壊れている程度のことではあるが……。
それでは”試験結果”を見てみよう。