“大統領にも屈しない”米女子代表ラピノー 自らの言動で母国に賛否生むスーパースター
バッシングも浴びせられるが、言うべきことは言う
ニューヨーク市庁舎前、ラピノーの凱旋演説の一部を紹介したい。彼女はチームメートを見ながら話す。
「チームにはピンクの髪の人がいる、紫もいる。タトゥー、ドレッドロック、白人、黒人、ストレートもゲイも!」
「もっと愛しましょう、憎むことは少なく。私たちはより良い世界を作る義務がある」
キャパニックの時と同じく、ラピノーにもバッシングが浴びせられているが、それ以上に称賛の声も上がっている。長いものには巻かれろの事大主義はアメリカにだってあるだろうが、彼女は言うべきことは言い、大統領にも屈しない。
ナイキ社はかつて、キャパニックを広告に起用して賛否両論を巻き起こした。大統領は「ひどいメッセージ。不買運動を起こされるだろう」と言った。しかし今、アメリカ女子代表のユニフォームは売れに売れている。男女合わせて史上最高の売れ行きだそうだ。
西部謙司
にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。