不安定なバランスをコントロールするネイマールの身体の使い方
ネイマールの怪我は選手生命に関わる!?
その後、皆さんご承知のように2014年7月4日に行われたワールドカップ準々決勝コロンビア戦で、DFスニガ選手に受けたチャージが原因でネイマールは腰椎骨折の重傷を負ってしまいました。
ネイマール選手が痛めたという、腰椎の3番(第三腰椎)がどういう働きを持つ部位かを解説させていただきます。まず、腰椎というのは脊椎の一部です。脊椎は4つの部位(頚椎・胸椎・腰椎・仙椎)に分かれており、ネイマールが負傷したのは5番まである腰椎のうちの3番というところになります。
腰椎3番というのは、重心にも深い関わりがあり、正常な姿勢では腰椎3番に重心が通ります。しかし骨折の影響でここの動きが悪くなってしまうと、重心のコントロールに大きな影響を及ぼします。 また腰椎3番は、太ももの神経に関係している部位でもあります。その神経にダメージを受けることがあれば、最悪の場合現役続行に関わる危険も出てきます。そうでなくとも、上記のとおりネイマールの大きな特長に関わる部位を痛めたことは間違いありません。
ネイマールの、受傷時の痛がり方も気になります。私は勤務するクリニックで高齢者を多く見ていますが、高齢者の方でも腰椎が折れていても「何か痛いな」ぐらいの反応だったりするんです。レントゲンを撮ってみて、初めて骨折に気づくということもあります。あれだけ痛がるということは、打撲のダメージもあるのだとは思いますが、相当大きなダメージを受けている可能性が高いです。今は、とにかく一日も早い快癒をお祈りします。
波田野征美(はたの・まさはる)
Oriental Physio Academy代表。理学療法士。体軸ヨガインストラクター。経絡ヨガインストラクター。ホリスティックボディワーカーHB150。自身が自転車競技者としてトレーニングをする中で従来の西洋的なトレーニング方法に疑問を感じる中で、古武術に出会う。西洋と東洋両方を組み合わせた独自の身体観、トレーニング方法はアスリート、スポーツ愛好家、さらには同業者からも高い評価を得ている。
インタビュアー:Oriental Physio Academy /サカイク編集部
※ワールドカップ期間中、記事内で扱うシーンの一部はFIFAワールドカップ公式動画配信サイト&アプリ『LEGENDS STADIUM』のマルチアングル動画、選手毎のスタッツデータで確認できます。
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