自画自賛の左足 カンボジア戦で戦局を一変させた柏木投入
後半途中出場で正確なキックでオウンゴール誘発
そして、後半6分の先制ゴールも柏木の左足が演出した。ゴール中央からやや右サイドの低い位置で得たフリーキックの場面で、柏木はカンボジアの最終ラインとGKの中間地点に落ちる正確なキックを供給。相手DF2人とGKに加えて岡崎が競り合ったボールは、相手DFの頭に当たってゴールへ。結果的にはオウンゴールだが、“その場所”に蹴り込んだことが生んだゴールでもある。
「1点を取るのが難しいとは思っていました。その後は2点、3点と取れるとは思っていたんですけど、それはうまくいかなかったですが、ゴールが自分のキックからというのはすごく良かったなと思っています」
ボールがゴールに吸い込まれるのを見届けた柏木は、右手をグッと突き上げた。ボールを支配しながらスコアレスの状態が続く中で、1つのゴールがその状況を打破すると考えていた。自らのゴールで手繰り寄せた先制点に、静かながらも確かな喜びを噛みしめていた。
12日のシンガポール戦で約3年9か月ぶりに日本代表でスタメン出場すると、ゲームメーカーとして躍動した。ハリル監督もそのプレーを絶賛した。この日の起用法を見る限り、ハリル監督にとって頼れる選手という評価を勝ち取ったのは間違いのないことだろう。
「イメージ的にはヤットさん(遠藤保仁・G大阪)を意識したい」と語る柏木が、ハリルジャパンの中核になっていく可能性は十分にあるかもしれない。アンダー世代から長らく才能を注目され続けた“走るファンタジスタ”が、ロシアへのいばら道を照らす光明となっている。
【了】
サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images
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