自画自賛の左足 カンボジア戦で戦局を一変させた柏木投入

後半途中出場で正確なキックでオウンゴール誘発

 この男が入って、チームはガラッと変わった。17日のワールドカップアジア2次予選の敵地カンボジア戦で、ハリルジャパンは前半を低調なまま、0-0のスコアで終えた。バヒド・ハリルホジッチ監督は敵地での勝ち点3を得るために、後半開始から MF遠藤航(湘南)に見切りをつけた。プレッシャーのかからない中盤の底で効果的なパスを出せない現状を打開するためにMF柏木陽介(浦和)を投入。このカンフル剤でチームのリズムが好転した。

 柏木はピッチに入るとすぐに最終ラインの選手たちやトップ下の香川真司(ドルトムント)とショートパスを交換。単純なパスとリターンパスの関係だが、その重要性をこんな風に話していた。

「『あのパスなんで?』と思う人がいるかもしれないけど、あれが相手を引きつけるパスというのは常に考えている。その中で、誰か動き出したタイミングで次々と考えている。もっと全体的にできれば、よりいい攻撃が増えてくるんじゃないかな」

 その言葉のとおり、カンボジアの守備陣が一度、前に引き出されたところで、柏木は一気に裏を狙った。そこに走り込んだFW岡崎慎司(レスター)が頭で落としたところに香川が走り込み、ファウルを受けた。PKのチャンスを得た。結局このPKは岡崎が失敗してしまうのだが、起用から1分で決定的な場面を演出した。

 その後も柏木は、ビルドアップの場面で多くボールに触ってリズムを作った。前半は香川がトップ下の位置から大きく下がってボールを受けにきたが、後半は柏木がその役目を担ったことで香川が高い位置をキープできた。そして、自らが前に行きすぎて渋滞を引き起こすこともなかった。一方で、プレーの流れの中で香川が下がったときには前方に進出した。よく走って動いているようでいて、チームのバランスを崩さなかった。ボールを持っていない場面での、戦術眼も光っていた。

 

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