「6.9%」から「20%以上」も上昇した数値とは? 本田が示したハリルJでの立ち位置の変化

右サイドの高い位置でパスを受け連動

 

本田データ

[DATA-5]シンガポール戦2試合の「本田とのパス交換本数」

 

 [DATA-5]を見ると、本田が出したパスの数は2試合とも58本で変わっていない。出したパスの数も初戦が39本、2戦目が42本と顕著な差はない。「誰に」パスを出したかを見た時に、ディフェンダー(初戦13本/2戦目15本)、ボランチ(初戦15本/2戦目16本)、攻撃的ミッドフィルダー及びトップの選手(初戦12本/2戦目11本)に出したパスの数もほぼ同数だ。

 唯一の変化は右サイドバック酒井宏樹へのパス数が8本から13本に大幅に増えたことだ。右サイドで受けたパスを、本田自身が「自分でなんとかしよう」とするプレーに加え、同サイドをオーバーラップする酒井を使う頻度が増えた。つまり同サイドの攻撃の一端を右サイドバックに任せることによって、自分がよりゴールに近い場所でプレーする機会が増えたことになる。

 しかし本当の変化は、本田が「誰から」パスを受けたかという点だ。初戦では、本田が受けた58本のパスのうち29本、つまり50%が柴崎岳、長谷部誠のダブルボランチからのものだった。そして宇佐美貴史、香川真司、岡崎慎司という2列目より前の選手から受けたパスは4本、全体のパスのわずか6.9%だけだった。

 それが2戦目では、その構成が大きく変わっている。柏木陽介、長谷部のボランチから受けたパスの数は29本から15本と約半分、全体の25.9%まで減少している。一方、2列目から前の武藤、清武、金崎から受けたパスは4本から16本と4倍、全体の27.6%まで増加している。常にチームの中心という立場にいる本田は、ボールに触りながらリズムを作りたいタイプなので、引いて受けて展開したり決定的なパスを出すプレーを好む。これまでは自らの右サイドのポジションをキープし、高い位置で受けるプレーは多くなかった。

 しかし、この試合では清武との絡み、武藤の逆サイドから斜めに送られてくるクロスボールに対して、良いタイミングでペナルティエリア内に侵入するプレーなど、高い位置でプレーする選手から受けるパスが劇的に増加した。

 

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