リバプール「黄金期到来」の予感 CL制覇による“クロップの覚醒”と好敵手マンCの存在
リバプールの主力選手は軒並みキャリアの全盛期
一方、こうしたライバルたちの下降傾向の現状と反比例するかのように、来季のリバプールにはさらなる上昇の予兆がある。
まず偶然ながら、トットナム以外の7チームが抱える選手の高齢化や主力選手の退団問題がない。主力クラスで1980年代生まれは33歳のジェームズ・ミルナーと29歳のデヤン・ロブレンくらい。しかし今季は2人とも明確なファーストチョイスではなく、ミルナーはユーティリティー性の高いサブとして起用されるケースが目立ち、ロブレンはジョエル・マティプの控えに回った。
一方、黄金の3トップはサラー27歳、サディオ・マネ27歳、ロベルト・フィルミーノ 27歳で今が盛り。今季の活躍でバロンドール候補にもなった守備の要フィルジル・ファン・ダイクも27歳。驚異的なアシスト数を記録した左右のサイドバックは、左のアンドリュー・ロバートソンが25歳、バルセロナ戦の4点目のCKからのアシストで名を馳せた右のトレント・アレクサンダー=アーノルドに至っては20歳。それに29歳の主将ジョーダン・ヘンダーソンが率いる中盤もジョルジニオ・ワイナルドゥムの28歳を筆頭に、ファビーニョ25歳、ナビ・ケイタ24歳、アレックス・オックスレイド=チェンバレン25歳と20代中盤が続き、これからさらなる伸びしろが期待できる年齢だ。
つまり、他の欧州強豪が主力の高齢化で戦力的な下降傾向にありながら、リバプールは唯一、明らかな上昇気流に乗ったチームということになる。これは今後のCLを支配するうえで、非常にラッキーだ。
そして監督のユルゲン・クロップ。これがまた特筆的に良い。まず年齢的にも52歳は監督しての全盛期の入り口。その人気と求心力はまさに欧州一である。もちろん、グアルディオラも素晴らしい。戦略、探究心、その緻密さ、インテンシティーの高さならカタロニアの知将に軍配が上がるだろう。
しかし、そのカリスマ性と天性の明るさでユルゲン・クロップは他の追随を許さない。この人間力は、強烈な個性とエゴを束ねなければならない欧州トップレベルのクラブ監督として、最大の武器であり、魅力でもある。
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森 昌利
もり・まさとし/1962年生まれ、福岡県出身。84年からフリーランスのライターとして活動し93年に渡英。当地で英国人女性と結婚後、定住した。ロンドン市内の出版社勤務を経て、98年から再びフリーランスに。01年、FW西澤明訓のボルトン加入をきっかけに報知新聞の英国通信員となり、プレミアリーグの取材を本格的に開始。英国人の視点を意識しながら、“サッカーの母国”イングランドの現状や魅力を日本に伝えている。