リバプール「黄金期到来」の予感 CL制覇による“クロップの覚醒”と好敵手マンCの存在
モウリーニョが断言 「リバプールのCL3年連続決勝進出がないとは言えない」
「どうしてリバプールが3年連続で決勝進出しないと言える? このクラブ、この監督、この選手たち、そしてこのサポーターが魂を通い合い、一体化している。3年連続がないとは言えない」
リバプールが2005年の“イスタンブールの奇跡”以来となる14年ぶりのUEFAチャンピオンズリーグ(CL)優勝を果たして、関係者、識者、一般ファンからの様々な感想、意見が英メディアに溢れた。しかし、このジョゼ・モウリーニョの発言ほど、二つの理由から、思い切ったものはなかったと思う。
まず一つ目の理由は、CLで3年連続決勝進出が単純に困難であること。前身の欧州チャンピオンズカップ時代を含めて64回の歴史を紐解いてみても、わずか7チームしか達成していない偉業だ。
まず最初は、これは唯一の例外で5年連続の決勝進出となるが、1955-56シーズンから59-60シーズンにかけて5連覇を達成した偉大なるレアル・マドリード。続いて60-61 シーズンから62-63シーズンにかけてのベンフィカ。3番目が70-71シーズンから72-73シーズンにかけて3連覇を果たしたアヤックス。4番目が73-74シーズンから75-76シーズンのバイエルン・ミュンヘンで、このチームも3連覇を達成した。
そして5番目が、現在のCLに名称変更された初年度の92-93シーズンから94-95シーズンにかけて決勝に残ったACミラン。6番目に続いたのもイタリア勢で、95-96シーズンから97-98シーズンにかけて決勝進出を果たしたユベントス。そして記憶に新しい7番目が2015-16シーズンから17-18シーズンにかけて3連覇を成し遂げたレアルである。さらに付け加えると、CL本戦が1999-2000シーズンより24チームから現行の32チームに拡大されて3年連続決勝進出を果たしたのは、レアルのみである。
しかしながらここに列挙したチームは、いずれもその時代を象徴するサッカー界における伝説的なチームだ。モウリーニョはそんな歴史的強豪に、リバプールが肩を並べる可能性があると言及したのである。
そしてこの発言を「思い切った」と形容した二つ目の理由は、ポルトガル人闘将がチェルシー、マンチェスター・ユナイテッドの監督を歴任したことだ。ともにリバプールのライバルクラブ。しかも昨年12月まで率いたユナイテッドとリバプールの関係は激烈で、元指揮官のモウリーニョがこのような発言をしたことで、古巣のサポーターが不快感を募らせるのは火を見るより明らかだ。
しかし、それでもあえてここまで踏み込んだ発言をするのがモウリーニョの真骨頂である。少しうがった見方をすれば、ユルゲン・クロップの下、一体化したリバプールを褒めることで、世界有数の監督である自分をサポート仕切れず、最後はあっさりと解任したユナイテッド経営陣への皮肉を込めたのかもしれない。
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森 昌利
もり・まさとし/1962年生まれ、福岡県出身。84年からフリーランスのライターとして活動し93年に渡英。当地で英国人女性と結婚後、定住した。ロンドン市内の出版社勤務を経て、98年から再びフリーランスに。01年、FW西澤明訓のボルトン加入をきっかけに報知新聞の英国通信員となり、プレミアリーグの取材を本格的に開始。英国人の視点を意識しながら、“サッカーの母国”イングランドの現状や魅力を日本に伝えている。