遠藤、名波の後継者になれるのか “走るファンタジスタ”柏木が強調した「布石のパス」
シンガポール戦で見せた駆け引きの妙
一方で、中央からの崩しには不満も見せた。トップ下で先発した清武弘嗣(ハノーバー)が徹底的にマークされた状況で、「もっとキヨ(清武)のところにボールを出したかったけど、切られていたし、うまくパス交換できなかった」と反省した。
そして、ハリル監督も「浦和と我々は違う」と語り、その違いについても話したという。ミハイロ・ペトロヴィッチ監督率いる浦和では、今季からボランチに定着し、阿部勇樹とコンビを組む。その戦術下ではビルドアップ時に阿部が最終ラインに下がり、”浦和の太陽”柏木が単独で後方から前線への中継役となる。場合によっては、阿部と柏木の2人が下がって両サイドのストッパーを高い位置に押し上げることもあり、ビルドアップにおける重要な役割を担っている。
「レッズではワンボランチのようにして攻撃を組み立てるから、なかなか前との距離を縮められないところがあるけど、このチームなら全体的に真ん中に人がいる状態は作れている。自分の特長は生かしやすいのかな。レッズはレッズで楽しいし、より狙うパスは増える感じやけど、代表は細かいパスが増える。リズムは作りやすい」
柏木がそう語るように、長谷部やトップ下の清武、右の本田、左の武藤嘉紀と、短いパスの出し入れをするシーンが多くあった。一見、なんてことのないパス交換にも見えるが、それが中盤で重要なものになるという。常々「簡単なパスの出し入れが大事だ」と口にしてきた柏木だが、その効果をこう語った。
「『あのパスなんで?』と思う人がいるかもしれないけど、あれが相手を引きつけるパスというのは常に考えている。その中で、誰か動き出したタイミングで次々と考えている。もっと全体的にできれば、よりいい攻撃が増えてくるんじゃないかな」