“英雄不在”のチームはなぜ勝てたのか? コロンビアを支えた22歳の10番

 コロンビアのホセ・ペケルマン監督は準々決勝でブラジルに敗れた後、チームの躍進を支えた22歳の10番を讃えた。ブラジル戦では徹底マークに苦しめられたが、数年後、このブラジルW杯は“ハメス・ロドリゲスというスターが世界にデビューした大会”として思い出されるかもしれない。

 それぐらい、ハメスが与えたインパクトは強烈だった。グループリーグでは3戦連続ゴール。とりわけ、1?1で迎えた後半から出場した日本戦のプレーは強烈だった。先発メンバーを8人も入れ替えた影響が感じられたコロンビアだったが、10番がピッチに入ると同時に別のチームに生まれ変わった。

“新しいクリスチャーノ・ロナウド”。

 ハメスは高い決定力と、甘いマスクから、そんな風に呼ばれることがある。だが、何よりも自分が目立つことを最優先する“本家”とは異なり、ハメスには周囲の味方を活かすパスセンスがある。日本戦でも2、3点目を決めたジャクソン・マルティネスのゴールは、ハメスのラストパスから生まれたものだった。

 極めつけは自ら決めた4点目だろう。ペナルティエリアの左角でパスを受けると、細かいボールタッチで吉田麻也を切り返し、飛び出してきたGK川島永嗣の鼻先でボールを浮かせてゴールネットを揺らした。美しいゴールは、日本の希望を完全に打ち砕いた。

 ウルグアイ戦では大会ベストゴールになるかもしれない1発が生まれた。ペナルティエリア正面で浮き球をコントロールし、地面に落とさずにボレーシュート。ハメスはシュートを打つ前にチラッと首を振って、ゴールの位置とGKが前に出ていることを確認している。狙い通りのスーパーゴールだった。

 

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