引退発表のトーレス、「最も記憶に残るゴール」に再脚光…44年ぶり戴冠に導く一撃
2008年のEURO決勝ドイツ戦、優勝決定弾をスペイン紙が選出
サガン鳥栖の元スペイン代表FWフェルナンド・トーレスが21日、今季限りでの現役引退を発表した。英雄の決断は当然、母国スペインでも大々的に報じられている。スペイン紙「マルカ」では数あるトーレスのゴールのなかでも「最も記憶に残る」ものとして、2008年の欧州選手権(EURO)決勝ドイツ戦(1-0)で生まれた一撃を取り上げている。
アトレチコ・マドリードでは10代でキャプテンに就任し、エースとして活躍。リバプールでもゴールを量産し、チェルシーではUEFAチャンピオンズリーグ(CL)制覇も成し遂げた。110キャップを誇るスペイン代表でも2度のEURO優勝と、2010年南アフリカ・ワールドカップ優勝を果たすなど、そのキャリアは輝かしいものだ。
そんなストライカーもついに現役引退を決断した。その瞬間が日本で訪れたことは、日本のサッカーファンにとっては感慨深い思い出となりそうだ。
幾多のゴールを量産してきたトーレスだが、マルカ紙は「彼の最も記憶に残るゴールは、まず間違いなく2008年の(EURO)決勝ドイツ戦(1-0)で生まれたものだろう」と紹介。トーレスも、そのゴールについてこう振り返っている。
「僕はDFラインとの間でシャビ(・エルナンデス)を見たんだ。彼は一人でフリーになっていた。僕は少し右サイドに開いてスペースを作ってから、ゴールに向かってダイアゴナルに走ろうとしたんだ。(フィリップ・)ラームが近くにいて上手くコントロールできなかったけど、そのまま外側を走り続けた。その時(GKのイェンス・)レーマンはまだ飛び出していなかった。だから僕はDFを抜いて、GKよりも先に(ボールに)触れると思った。だから僕は一気に加速した。それからのことは、歴史に残っている」
シャビのスルーパスに反応し、スピードでラームを抜き去ったトーレスは、ボールに飛びついたレーマンの鼻先でボールをちょこんと浮かした。ボールは無人のゴールへと転がり込み、これが決勝点となってスペインはドイツに勝利した。
トーレスは“無敵艦隊”と呼ばれながら、長くタイトルと縁がなかったスペインを44年ぶりのヨーロッパ王者に導いた。そしてこの得点は、トーレスのキャリアのなかでも最も記憶に残り、そして重要な意味を持つ得点となった。スペインの英雄は今季限りでスパイクを脱ぐが、このゴールは永遠に語り継がれることになるだろう。