低弾道キックで攻撃にリズムを生むGK西川 決定機創出と無失点の二兎を追い続ける
アジア勢相手の無失点はノルマ
そうしたプレースタイルだからこそ、ピッチコンディションは持ち味を出せるか否かのターニングポイントになる場合がある。固く、荒れたピッチであればあるほど、セーフティーなプレーが要求される割合が増える。一方で、良いコンディションであればあるほど、西川らしいチャレンジのパスで攻撃のリズムを生み出せる。実際に、ピッチの感触を確かめた西川は納得の表情だった。
「思ったよりはいいですね。去年も来ていて、そのイメージだったので、思ったよりも芝はいいなという感じでした。ゴールに直結するようなパスをGKからも狙って行きたいですし、そこは自分の長所でもあるので、とにかく前へ、縦に速いボールを意識したいなと思います」
一方で、そのピッチコンディションは“フィールドプレーヤーとしての西川”にはプラスに働くが、“ゴールを守る選手としての西川”には警戒すべきポイントでもあるという。
「ちょっと下が濡れていると思うんですけど、結構ボールが走るので、グラウンダーのシュートだったり、そういうのは伸びてくるので、そこはGKとしては注意していかなければいけないかなと思いますね」
無失点という言葉に至上の喜びを感じる男は、前回のイラン戦でPKを一度止めながらこぼれ球を押し込まれた際に悔しさを露わにした。相手との力関係もあるが、無失点はノルマだと考えている。
「シュートがゼロになることはなかなかないので、限られた中でピンチがあると思う。そのピンチをしっかりと防いで、とにかく無失点でチームが勝てるようにしたい」
バヒド・ハリルホジッチ監督が“リベンジ”という言葉を強調したシンガポール戦。ホームではスコアレスドローであっただけに、得点を奪った上で失点をゼロにしてこそリベンジは完遂される。「あとは試合を楽しみたい」と語った“笑顔の守護神”は、攻守に存在感を発揮する心づもりでいる。
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サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images