【ベスト4決定】 センターバックの安定感がもたらしたブラジルの“縦への推進力”
プレッシングサッカーを支える鉄壁のCB
激しいプレッシャーで相手の攻撃を許さないようにしようとしても、90分間抑え切れることはできない。コロンビアの得点源である司令塔のハメス・ロドリゲスはブラジルの徹底マークに合い、序盤はなかなかボールに触ることはできなかった。しかし、徐々にスペースを見つけ出す。広い視野で素早く味方選手を見つけると、柔らかなタッチでパスを通して攻撃のリズムを作ることに成功した。当然、プレスはかわされると、後ろに広大なスペースを与えてしまう。実際に、ブラジルは何度かそこをつかれてしまった場面もあった。だが、世界最高峰のCBコンビが最後のところでコロンビアの前に立ちふさがった。
センターバックのダビド・ルイスとチアゴ・シルバの2人は、単純に1対1が強いだけではなく、戦術理解が素晴らしい選手だ。数的不利な状況になっても最適な状況判断で相手の攻撃を遮断してみせた。例えば、相手が中央からドリブルで持ち込んで来たら互いの距離を詰めてセンターを固め、相手がサイドに出すだろう絶妙のタイミングで距離を広げて、パスの受け手とエリア内に走り込む選手をマークしてみせた。
この試合、2人は守備だけではなく、得点源としても勝利に大きく貢献した。先制点となったネイマールのCKからのチアゴ・シルバのゴールは練習通りのものだろう。ニアに複数の選手が飛び込んで相手を引き付け、ファーの選手が押し込む。チリ戦でも同じような形からダビド・ルイスが決めている。2点目のダビド・ルイスのFKは褒めるしかないだろう。ハメス・ロドリゲスにPKで1点を返されたが、最後まで集中力を切らさずに鉄壁のセンターバックを中心にコロンビアの攻めをしのぎ切ったブラジルが、見事にベスト4進出を決めた。
取材・文/中野吉之伴 企画/COACH UNITED編集部
※ワールドカップ期間中、記事内で扱うシーンの一部はFIFAワールドカップ公式動画配信サイト&アプリ『LEGENDS STADIUM』のマルチアングル動画、選手毎のスタッツデータで確認できます。
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