【ベスト4決定】 センターバックの安定感がもたらしたブラジルの“縦への推進力”
驚異的な縦への推進力
「前へ!」の意識は、まず守備に出ていた。ブラジルは高い攻撃力を誇るコロンビアに全く臆することなく、中盤から勇敢にボール奪取するためにチャレンジし続けた。ボールを奪って攻め上がる時には守備ラインを素早く押上げて、陣形を常にコンパクトに保つ。
縦パスを受けた相手にボールをキープさせたり、振り向かせたりさせず、積極的に相手の前に飛び出してカットすることを狙い続けた。考えなしにインターセプトを狙うのではなく、戻りの早い前線の選手がボール保持者にプレスをかけることで、パスコースを限定した。
前から取りに行くことを把握している後ろの選手がしっかりとカバーに入っていたのも大きい。選手はそれぞれ自分のポジションにだけとらわれるのではなく、例えば左サイドバックのマルセロは状況に応じて中に絞り、何度もカットやクリアを見せていた。
ボールを奪うとスピードに乗ったドリブルで前に運び、相手が寄せてくるとサッとはたく。くさびのパスからダイレクトにスペースにパスを送り、サポートに入った選手がそのスペースに次々に走り込んでいった。チームとして“縦への推進力”があるということは、最初の段階でスピードに乗って駆け上がっていけるポジショニングを取れていたということになる。
深すぎると前に飛び出していくのは難しく、浅すぎると守備で相手にスペースを与えてしまう。といはいえ、盲目的にすべての選手が同時に飛び出すと、ちょっとしたミスで一気にピンチになるのは自明のことだ。スペースに抜け出せる選手が飛び出し、他の選手は前への距離を詰めながら自分がスタートできるタイミングを待つ。チームとしても「前へ!」という共通認識があるからスピードは常に高く保たれていた。
チームとして縦に素早く攻めるコンセプトを機能させるには、パスの出しどころが重要になる。そして、パスが向かう先にいるのがエースの“ネイマール”だ。