苦戦の南米2強と充実のコロンビア、想定内の日本… コパ序盤戦に見る各国の明暗
強豪国にW杯からの変化なし、アルゼンチンはメッシ頼みから脱却できず
コパ・アメリカ(南米選手権)も2試合目に入っている。開催国で優勝候補のブラジルは、第2戦でベネズエラと引き分けた(0-0)。アルゼンチンは初戦でコロンビアに0-2と完敗し、次のパラグアイ戦も引き分け(1-1)の崖っぷち。この大会最多優勝を誇るウルグアイはエクアドルに4-0勝利と好スタートを切ったが、まだ大会は始まったばかりだ。
ロシア・ワールドカップ(W杯)の1年後というタイミングのせいか、強豪国にあまり変化がない。
ブラジルはネイマールが欠場したので2人くらい選手が代わっているが、変化というほどのこともなく、いつもどおりのブラジルである。ウルグアイは選手の顔ぶれも同じなら、プレーぶりも全く変わりなし。若手のロドリゴ・ベンタンクールが1年間で成長したのが違いといえば違いか。アルゼンチンは相変わらずの“メッシ頼み”から脱却できておらず、チームとしての機能性ではブラジル、ウルグアイの後塵を拝している状態と言える。
直近2大会(2015、2016年)を連覇しているチリも、その時の勢いはない。メンバーは変わらず、4年分歳をとって看板のインテンシティーやパワーが落ちている。初戦は日本に4-0と快勝したものの、3連覇はちょっと厳しそうだ。
ディフェンディングチャンピオンと2強が足踏み状態のなか、アルゼンチンとカタールに連勝したコロンビアが好調だ。ハメス・ロドリゲス、フアン・クアドラード、ラダメル・ファルカオといった中心選手は変わらないが、ウイングだったクアドラードがインサイドハーフをこなすなど、戦い方に変化をつけている。
カルロス・ケイロス監督が就任した影響だろう。1月まではイラン代表監督としてアジアカップを戦っていたが、今度はコパ・アメリカと忙しい。序盤の勢いで言えば、コロンビアに優勝の可能性はあるかもしれない。
西部謙司
にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。