日本代表「チリ戦出場14人」を金田喜稔が採点 “急造チーム”で輝いた選手、唯一の最低点は?

(左から)中山雄太、柴崎岳、久保建英、上田綺世、植田直通【写真:Getty Images】
(左から)中山雄太、柴崎岳、久保建英、上田綺世、植田直通【写真:Getty Images】

コパ・アメリカ初戦で0-4大敗 FW上田は再三の決定機を外すもポジショニングは評価

 日本代表は現地時間17日、ブラジルで開催されているコパ・アメリカ(南米選手権)グループリーグ第1戦でチリ代表と対戦し、0-4と大敗した。東京五輪世代の若手が中心となった日本は、スタメン6人がA代表デビューとなるフレッシュな陣容。大会2連覇中の“南米王者”を相手に、序盤は一進一退の攻防を演じたが、前半41分にCKから先制点を献上すると、後半に3失点を喫して敗れた。

 実力差をまざまざと見せつけられる結果となったが、1970年代から80年代にかけて「天才ドリブラー」として日本代表でも活躍した金田喜稔氏は、この一戦をどのように見たのか。

 金田氏はまず、今大会の日本代表は「急造チーム」であり、「準備不足のなかで選手に攻守のコンビネーションを求めるのは酷」と指摘。0-4という大敗を招いた一因は、「チリに対する分析不足により、チームとしての共通理解を徹底できていなかった」ことにあるとした。そのうえで、出場した全14選手を5段階で評価(5つ星が最高、1つ星が最低)。連係が構築されていないなかでも決定機を創出したMF柴崎岳(ヘタフェ)と、強豪チリ相手の公式戦でも卓越したスキルを発揮したMF久保建英(FC東京→レアル・マドリード)に、この試合で最高となる“4つ星評価”を与えた。

  ◇   ◇   ◇

<FW>
■上田綺世(法政大/→後半34分OUT)=★★★

 3、4回の決定機を迎えながら無得点という結果がある以上、ストライカーとしての評価は当然低い。彼が1点でも取っていれば、試合の流れが変わった可能性は十分にあり、シュート技術の低さを露呈したことに変わりはないだろう。その一方で、チリ相手に何度も決定的なシーンに顔を出せるポジションを取れていたことも事実。日本代表のFWとして、得点を決めなければ話にはならないが、自らがゴール前でフリーになれるポジショニングセンスを持っていることは示すことができた。あとはこの悔しいA代表デビュー戦で、上田自身が何を学んだのか。前半44分の決定機では、おそらく彼自身のいつものテンポでシュートフェイントをかけながら相手GKをいなし、決められるイメージがあったのだろう。だが南米のGKは、横に行くドリブルに対して簡単にシュートコースを作らせてくれない。ゴール前での闘志や落ち着きといったメンタル面も含め、この試合で感じた厳しさを次に生かしてもらいたい。

<MF>
■中島翔哉(アル・ドゥハイル/→後半21分OUT)=★★★

 対峙する相手に対して自分が先手を奪い、ドリブルを仕掛けてシュートに持っていく中島らしいシーンは見せることができていた。ただ、後方にいる左サイドバック杉岡とのコンビネーションが構築されていないため、攻守両面で思うように連動できず、簡単にボールを失ってしまう場面も。守備面でも自分のサイドから、相手にビルドアップを何度も許してしまった。

金田喜稔

かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。

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