ブラジル人識者がコパのグループ展望 日本代表、“成功のシナリオ”の鍵は「勝ち点4」
スアレス、カバーニとスターを擁するウルグアイは「間違いなく優勝候補の一つ」
日本がグループリーグ初戦で対戦するチリは、2015年、16年とコパ・アメリカを2連覇した一方で、ロシア・ワールドカップの南米予選で最終節に大陸間プレーオフ出場圏外の6位に転落し、3大会ぶりに世界の舞台を逃した。短期間に栄光と悲劇を味わったが、バラン氏は決勝に進出する実力はあると見る。
「チリは、W杯に行けなかったという悪夢を払拭しなければならない。『南米の中だけで強いことがなんの役に立つんだ』と、国内で強く批判されたからね。ただ、チリは強いチームだよ。それこそ、W杯に行けてもおかしくなかった。(MFアルトゥーロ・)ビダルは、南米をかき回す存在だ。(FWアレクシス・)サンチェスも、(DFガリー)メデルもいる。その顔ぶれを考えると、今大会でまたチリが決勝に行っても、決してサプライズではない」
そして、20日に行われる第2戦で対戦するウルグアイは、グループ内で最も高いFIFAランキング8位を誇る。FWルイス・スアレス(バルセロナ)やFWエディンソン・カバーニ(パリ・サンジェルマン)といった主力もメンバー入りし、今大会の優勝候補の一つだ。
「ウルグアイは南米の中でも最高の代表チームの一つ。オスカル・タバレス監督が率いて13年、強固な基盤を築いているのは近年のW杯や他の大会の結果を見ても明らかだ。間違いなく優勝候補の一つだけど、日本がウルグアイと対戦することは、運がなかったというわけじゃない。ブラジルとアルゼンチン、ウルグアイのうち、どこかと対戦しなければならないなら、ウルグアイで良かったと思う。まだマシだ。大会によって、3カ国の結果が上下することはあっても、伝統的には“3強”とまでは言えない。南米の2強のすぐ後に続くのがウルグアイ、という位置づけだからね」
チリ、ウルグアイに比べれば、第3戦の相手であるエクアドルはやはりレベルは落ちる。2006年のドイツW杯でグループリーグ突破を果たしたが、ロシアW杯は南米予選で敗退。「南米の中でもそれほど際立つ存在だった歴史がない」とバラン氏は語る。
「細かいところで言えば、ブラジルのチッチ監督が2016年9月に代表指揮官として初めて戦ったのがエクアドルだ。その時、エクアドルは南米予選2位だった。でも、最終節が終わってみると、ブラジルは1位通過でW杯へ、一方のエクアドルは予選を突破できなかった。だから、エクアドルは南米の中での良い地位を取り戻さないといけない時期に来ているんだけど、正直このグループでは難しいだろうね」
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藤原清美
ふじわら・きよみ/2001年にリオデジャネイロへ拠点を移し、スポーツやドキュメンタリー、紀行などの分野で取材活動。特に、サッカーではブラジル代表チームや選手の取材で世界中を飛び回り、日本とブラジル両国のテレビ・執筆などで活躍している。ワールドカップ6大会取材。著書に『セレソン 人生の勝者たち 「最強集団」から学ぶ15の言葉』(ソル・メディア)『感動!ブラジルサッカー』(講談社現代新書)。YouTubeチャンネル『Planeta Kiyomi』も運営中。