3バック採用と“森保流”の日本代表強化策 今後のメンバー選考における見どころは?
W杯アジア予選を見据えた3バック採用は“攻撃的なオプション”
こうした発言を踏まえると、森保監督は9月から始まるカタールW杯アジア予選での3バック採用を考えているようだ。ゴール前を多人数で固められ、ボール支配率が高くなるアジアでの戦いを想定すると、3バックは守備的なオプションというよりも攻撃的なオプションと捉えられる。そうなると、1試合目のトリニダード・トバゴ戦のほうが想定するテストケースに近かったと言える。
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2試合目のほうが日本の出来は良かったとはいえ、1試合目は25本のシュートを打って無得点といった内容であり、スタッツだけを見れば運が悪かったという言い方はできる。しかしながらハイクロスやミドルシュートがほとんどで、得点率としては低いシュートが多く、本当の意味での決定機は少なかった。
相手ゴール前を多人数で固められた時、WBがタッチラインいっぱいまで広がって横幅を使った攻撃は有効になる。具体的には、素早いサイドチェンジから局面における数的優位を作り出し、そこから決定機を作り出していくことになる。
WBとシャドーのコンビネーションに、時にはトップやボランチが絡んで局面を打開する方法。サイドでWBと相手のサイドバック(SB)の1対1を作って、そのデュエルを制して打開する方法。相手守備の幅を広げたことで間のスペースができ、そこで受けたシャドーの選手と他の選手のコンビネーション、あるいはシャドーの選手のインスピレーションで打開する方法。3バックでの攻撃パターンは、大きくこの3種類に分けられる。
確率的に考えると、WBを使ったコンビネーションあるいは単独突破というパターンが最も多くなる。その時に線でつながるグラウンダーのクロスを入れられれば得点確率も高くなるが、浮き球のハイクロスになれば点と点で合わせることになり、得点確率は低くなる。グラウンダーのクロスを入れるためには、スルーパスやドリブル突破で相手SBの裏を取り、センターバックの1人を引き出す必要がある。この3バックシステムにおいてWBの突破力は、得点を奪うための大きなカギとなる。
とはいえ、サイドで1対1の局面を作れる数もそれほど多くないことを想定すると、ハイクロスからゴールを狙うことが最も多くなるだろう。そのクロスに合わせる役割は、トップおよび逆サイドのシャドーの選手となる。この2人には競り合いでの強さが要求されてくる。