東京五輪“2番手”扱いにトゥーロン組が示した答え 「史上最高成績」が今後に及ぼす影響は?
【トゥーロン国際大会総括】チームの根底にあった“反骨心”が呼び込んだ「目に見える結果」
U-22日本代表は15日、フランス南部の都市マルセイユ近郊のサロン・ド・プロバンスで行われた第47回トゥーロン国際大会決勝ブラジル戦に臨み、1-1の接戦の末にPK戦で4-5と惜しくも敗れて準優勝となった。これまで東京五輪世代の主軸を担っていた多くの選手がコパ・アメリカ(南米選手権)に参加するなか、その次のグループにあたる選手たちが臨んだトゥーロン国際大会での準優勝という成果――。大会史上、最高の成績を収めたチームの戦いを総括する。
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今大会を通してチームの根底にあったのは、“反骨心”に他ならない。コパ・アメリカに多くの東京五輪世代の選手が選ばれたことで、トゥーロン国際大会に出場する選手はどうしても“2番手”の言葉が先行していた。それを選手たちも自覚していないわけがなかった。
「やっぱり東京五輪が近づくにつれて、こうやってコパに呼ばれている選手などもいるなかで言うと、自分たちの立ち位置というのは、来ている僕らが一番理解しているつもり。そこで何か形に残さないといけないという焦りはありました」(オビ・パウエルオビンナ)
今大会で何を残さなければいけないか。それはハッキリしていた。コパ・アメリカに挑んでいる選手たちにプレッシャーを与えるためには、自分のできることをアピールするだけでは足りない。目に見える分かりやすい結果が欲しかった。
そういう意味では、グループリーグで前年度王者のイングランドを2-1で破り、同世代のチリには6-1の大勝。準決勝ではメキシコに2-2からPK戦の末に勝利し、決勝でも敗れはしたがブラジル相手にあと一歩まで追いすがる戦いを見せた。最終的に準優勝という結果を勝ち取ったことは、『自分たちはこれだけやれるぞ』と遠く離れたブラジルの森保一監督に伝えることができただろうし、世界の強豪と対等に渡り合えることを披露したことは大きなアピールになったに違いない。
とはいえ、今大会の成績ですべてが変わるわけではない。もちろん、ここで手にした成果は評価されるべきであり、今後の選考に影響を与えてくるのは間違いないだろう。ただ「5試合を通してやれた部分というのは、多少選手の中にも自信という風に芽生えている部分はあります。だけど、課題の部分でやっぱりまだ足りないなと選手も肌で感じていると思うので、そういうところも含めて今後もう少し高めていかないといけないと思います」とは横内昭展監督代行の言葉。この経験をどう生かしていくかが、さらなる成長、そして東京五輪への道につながっていくのだ。
林 遼平
はやし・りょうへい/1987年、埼玉県生まれ。東日本大震災を機に「あとで後悔するならやりたいことはやっておこう」と、憧れだったロンドンへ語学留学。2012年のロンドン五輪を現地で観戦したことで、よりスポーツの奥深さにハマることになった。帰国後、サッカー専門新聞『EL GOLAZO』の川崎フロンターレ、湘南ベルマーレ、東京ヴェルディ担当を歴任。現在はフリーランスとして『Number Web』や『GOAL』などに寄稿している。