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【W杯詳細分析・フランス-ドイツ】フランスの「一体感」を打ち破ったドイツの「コレクティブ」なサッカー
フランスの複数の得点者とクリア数の少なさ
どこに一体感が表れているのか。まず、フランスが挙げた10得点のうちベンゼマの3得点、2つのオウンゴールを除く5得点は5人のプレーヤーで奪っている。一つの大会で2つのオウンゴールというのは実はフランスが初めてのチームだ。それが一体感の成す業とまでは言わないが、それでも6人のフィールドプレーヤーが得点に関わるのは比較的珍しい。
今回の大会は攻守の切り替えが速いと感じる人が多いと思う。攻守の切り替えの速さはセカンドボールの奪い合いとその後のアクションでその速さが分かる。そしてもう一つはクリアの数だ。クリアとは自分のチームがピンチを迎えた時に、そのピンチの芽を摘むためにボールを大きく蹴り出して危ない地域を遠ざけるプレーだ。ただ、クリアを選択すると危険地域を遠ざける代償として相手にボールをプレゼントしなければならない。
クリアによって相手の攻めモードを継続させるか、クリアせずにパスにしてカウンターに繋げるか。それによって戦況は大きく変わる。クリアせずにパスを選択するためにはチーム内で戦況に対する共通認識と次のプレーの選択肢の共有することが不可欠だ。
最初の表を見てほしい。フランスの各試合におけるクリア数を示したものだ。
決勝トーナメントでベスト8をかけたナイジェリアとの一戦は相手の縦の速い攻撃に対してクリアで逃げざるを得ない苦しい展開だったが、それ以外は常に相手より少ないことが分かる。2010年のワールドカップ南アフリカ大会でもクリアの平均が20本前後のチームはスペイン、ブラジル、ドイツ、アルゼンチン等の強豪チームばかりだった。誰もが得点に絡む可能性をもってプレーし、守備から攻撃の切り替えの際の共通認識と攻撃の意識の共有があった。そうしたプレーが「一体感」という印象を与えた大きな理由だったのだろう。