【日本代表対談|後編】ビーチサッカー茂怜羅オズ×フットサル滝田学 ~夢を掴むために~

「2016年大会は今までの人生の中で一番辛かった」と滝田は振り返る【写真:Noriko NAGANO】
「2016年大会は今までの人生の中で一番辛かった」と滝田は振り返る【写真:Noriko NAGANO】

滝田「まじでやばかったな、あの時は…」

滝田 まじでやばかったな、あの時は…。W杯出場を懸けた2016年大会(開催地/ウズベキスタン)で順位決定戦に負けて、W杯出場のチャンスがなくなった時は、みんな超泣いてて、僕も泣いてたけど、あんまり涙も出てこなくて、1回ホテルに帰って、みんな部屋に散り散り戻って……。何も考えられなかった。ホテルの部屋が13階で、外に出たら、自分がこのまま飛び降りちゃうんじゃないかって思って、超怖くなった。2人部屋で、2人で「どうしょう」って、ずっと、ぼーっとしてた。あの夜が、今までの人生の中で一番辛かった。日本に帰りたくないけど、そこにもいたくなかった。負けたあとは、もう他のチームの奴と会いたくなかった。

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オズ 分かる。みんな同じホテルだしね。

滝田 その時は、中国の旧正月の関係で、帰りの飛行機が取れなくて、5日間ぐらいそこにいないといけなかった。「うわーっ、どうする」ってなってた。みんな話したくなくて……。でも、ちょっとずつ、これからのことを考えないといけないし、「もう引退するわ」っていう選手もいたけど、「ここで負けたのにも責任がある。すぐに辞めるっていうわけにもいかない」っていう話をみんなでした。

 5日間めちゃくちゃ長くて、もちろん、日本で応援してくれてた人たちも悲しんでくれてたのが分かったから辛かったけど、「現地でこの悔しい経験をできたのは、一つ意味がある」ってみんなで捉えられたのもあって、頑張ろうと思った。だから、今回、ビーチがW杯出場を決めたのはすごいし、優勝できるっていうのは、大きいよね。

オズ 大きい。前回のW杯予選は、決勝で負けてしまった。W杯に出ることは決まっていたからまだいいけど、アジア1位でW杯に出ることが大きいし、順位でW杯の組み合わせも変わると思う。W杯でも優勝したい気持ちがすごく強い。負けて日本に帰ってきたら、謝るしかないからね、いろんな人が応援してくれてるから。

滝田 日本のビーチサッカーはもっと評価されていいと思う。評価されるためだけにやってるわけじゃないけど、やっぱりすごいよ。

オズ 今まで全部のW杯に出てるのは、ブラジルと日本だけ。そういう歴史も大事だと思う。今回は、まさか、イランと準々決勝で当たるとは思わなかった(※)。

(※イランと決勝まで当たりたくない日本は、グループCで1位になったが、グループDで1位通過すると思われていたイランがオマーンに負けて2位となり、日本とイランは準々決勝で当たることになった)

オズ イランが負ける試合を見たあとの帰りのバスの中は、シーンとしていた。それに気づいて、ラモスさんと話した。「まずいな」と……。次の日は試合がなかった。試合前日、選手たちが集まって話して、「死ぬか生きるかだ」って、考えてた。試合の日の朝、みんなの顔を見たら、すごくちゃんとしてた。ラモスさんがチームをまとめてくれて本当によかった。

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