Jリーグに“帰還”した日本人指導者 オーストリアで名将から学んだ情熱と積み重ねた経験

オーストリアの女子チームで監督兼スポーツディレクターを兼任

 17-18シーズンからは、オーストリアで3番目に優勝回数が多い名門ヴァッカーインスブルックの女子チーム監督およびスポーツディレクターを兼任することになる。

「コーチとの契約の話とかフィジオとのこととか、選手が怪我をした時にどういうプロセスで誰がドクターと連絡を取って手術のアポイントを取ったりとか。実際にチームの中で起きるトラブルなど、すべてを自分が責任を持って取り組んできた。女子チームだけど、今は男子でもセンシティブというかコミュニケーションを取ってやらなきゃみたいなのもあるので、やっていることはそんなに変わらないじゃないかと思う」

 その年に2部・3部に所属していたトップとセカンドの両チームをそれぞれリーグ優勝とダブル昇格に導いた。今季はトップチームが1部リーグを6位でフィニッシュ。昨今、日本人指導者の海外での修業が増えてきているが、実際に欧州1部リーグで指揮を執ったことのある日本人は彼だけ。お客さんとしての経験ではなく、常に実戦の場に立ち続け、培ってきた経験は本物だ。

 次なる挑戦の場に選んだ先は、近年大型補強を敢行し、元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタや同FWダビド・ビジャ、元ドイツ代表FWルーカス・ポドルスキらが所属する神戸。Jリーグの舞台で、どんな化学反応を起こしてくれるのか楽しみだ。(文中敬称略)

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(中野吉之伴 / Kichinosuke Nakano)



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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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