仏記者が見るなでしこJ初戦ドロー 単調な攻撃に苦言…「工夫する動きが見られなかった」

コラムニストとしても筆をふるうジェローム・ラッタ記者【写真:小川由紀子】
コラムニストとしても筆をふるうジェローム・ラッタ記者【写真:小川由紀子】

厳しい状況に奮起したアルゼンチン 「彼女たちはエスプリで戦っていた」

 この日の「レキップ」紙では、アルゼンチン代表がいかに悲劇的な状況に置かれているか、その詳細がレポートされていた。

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 アルゼンチンサッカー協会は女子チームをサポートせず、2015年夏から2年間、練習も含め、一切活動が行えない状況にあった。2年後の2017年8月にウルグアイとの親善試合が実現したものの、経費を節約するため、試合当日の朝3時に出発し、宿泊せずに試合を実施。その後、またバスに揺られて日帰りするという強行軍を強いられたという。

 しかし選手たちは「この厳しい状況を変えるには、自分たちが結果を出すしかない」と奮い立ち、今大会への出場権を勝ち取った。そうした状況のなか、初戦で手にした勝ち点1。試合終了後、アルゼンチンの選手たちは、まるで大会に優勝したかのように喜びを爆発させていた。

「もちろん日本をしっかり分析するなど、準備も周到だった。しかしむしろ彼女たちは、『実力で見返したい』というエスプリで戦っていたように感じた。10番のキャプテン、(エステファニア・)バニーニのプレーは凄まじかった。攻撃に上がっていたかと思えば、すぐにディフェンスに駆け戻り、見ていて熱くなるような、まさに渾身のパフォーマンスだった」

「日本のプレーが極端に悪かったというよりも、この試合に勝つために十分なプレーができていなかった。序盤にコントロールを欠いていたのは、立ち上がりの緊張などもあったのだろう。しかし、その後もスピード、正確性ともに不十分だったのは、いろいろな要素が十分に発揮できていなかったということだ」

 日本は第2戦でスコットランド、第3戦でイングランドと対戦する。突破に向けての展望を聞いた。

「このグループを勝ち抜くには、プレーのレベルを上げる必要がある。この2チームもフィジカルなチームだが、とくにイングランドなどは、それに加えてテクニックや戦術もある。このような相手には、スピードや敏捷性を生かした小回りの効くプレー、巧みなパスワークといった、日本本来の持ち味を存分に発揮して対戦する必要があるだろう」

 アルゼンチン戦では望み通りの結果は得られなかった日本だが、まだ挽回のチャンスはある。スコットランド戦、イングランド戦では持ち味を活かして勝利をつかみたいところだ。

(小川由紀子/Yukiko Ogawa)



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