ミラン指揮官、移籍直訴の本田に三くだり半 「チャンスは与えたはずだ」と慰留せず

鬼軍曹の厳しさ

 「プレーする選手もいるし、プレーしない選手もいる。プレーしていなかった選手が入って、いいプレーをする。チームは結果を出す。そうなれば自分の番を待つ。みんなにとって、そういう形でチームは機能する。マラドーナのように必ずプレーするという選手はいない。みんなが重要な選手で、みんながプロジェクトに関与していると感じる。みんながチャンスを与えられた時には、そのチャンスを生かそうとする。1週間懸命に練習したものだけがプレーできる。練習しなければ、プレーできるところまで到達できることは決してない。

 我慢して、待つ。監督に選択を困らせて、そしてチャンスが来た時に、準備して、それを生かす。簡単ではないのは分かっているが、それは我々の仕事の一部だ。故障や出場停止もある。好調ではない試合もある。ここにいる選手たちはみんなプレーした。多くプレーした選手もいるし、プレー時間が少ない選手もいる。みんな見せるチャンスは与えられた。試合にあまり出られないことは、私に怒らないで、自分自身に怒るべきだ。ピッチでのプレーがものをいうのだ」

 プロとしての心構えを説く指揮官の言葉に淀みはなかった。本田はクラブ批判の際に、「なぜ出られないのかわからない」と語っていた。現在のチームにアルゼンチン代表の伝説的名手のような絶対的な存在はいない。練習場で必死にアピールし、試合で結果を出した人間だけがフィールドに立ち続ける権利があるという。憤りをぶつけるべきはまず自分自身であるべきだった。

 選手としても世界最高クラスの名手だった鬼軍曹の言葉は厳しさと重厚さをたたえていた。

【了】

サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

page1 page2

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング