日本代表「トリニダード・トバゴ戦出場16人」を金田喜稔が採点 低調な一戦の最低評価は?
チームとして「両ウイングバックを高い位置に押し上げられず」
■堂安 律(フローニンゲン/→後半26分OUT)=★★
個人的にも期待が大きいなかで、この日のプレーは消化不良なものに映った。もちろん、3-4-2-1を初採用したことによるチーム全体の機能不全や、相手が引いてスペースを消してくるなかでの難しさはあっただろうが、個で打開するところ、味方を使うところの整理ができていなかった印象で、もっと果敢に仕掛けたりミドルを狙っても良かった。また少し気になったのは、堂安のパスが「スペースへ出す」ものが多いということ。これは以前から感じていたのだが、走っている味方にパスを出す際など、最適な位置から1メートルほど前方に出している印象だ。堂安が絡んだシーンでボールを失う時は、こうした味方に対する「前に行ってください」というパスの時が多い。もう少し相手の足もとに出す意識を高めたほうが、ワールドカップ予選など負けられない試合でのリスク回避につながるだろう。
■柴崎 岳(ヘタフェ)=★★★
ボールを圧倒的に支配しながら攻撃が停滞する試合展開のなかで、もう少し自らがミドルシュートを打ったり、ゴールに迫る積極的なアイデアやプレーを出してほしかった。ボールは引き出しさばいてはいたが、試合を通してプレーエリアが低く、早いタイミングでのミドルレンジのサイドチェンジや、効果的な前線への配球があまり見られなかった。おそらく森保監督は、柴崎に広島での青山(敏弘)のようなイメージを重ねているはず。3-4-2-1を機能させるうえでは、両サイドからパスを受けた時に止めてから出すのではなく、ワンタッチで縦パスを1トップの大迫へ通すのが理想形。後半に1本だけその形を作ったが、これが1試合を通して5、6本通るようになれば、このシステムにおける攻撃も鋭さが増すはずだ。
■守田英正(川崎/→後半16分OUT)=★★★
運動量は多く、切り替えも早かった。ただ序盤に左足でミドルを打てる時に躊躇してしまい、ボールを奪われてカウンターを受けるシーンがあった。上がった時はシュートで終わって自分のポジションに戻るという、プレーの整理がもう少しあれば良かった。全体的には広範囲にわたる守備への貢献と、柴崎とのボランチコンビの距離関係も良く、バランスを崩さずにどんどん顔を出してさばく仕事はできていたが、仕掛けのパスなど決定的なプレーはなかった。
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■長友佑都(ガラタサライ/→後半34分OUT)=★★★
ウイングバックとしてはプレーする位置がやや低かった。チーム全体が、両翼がハーフウェーラインを越えた高い位置でボールを受けてさばけるような形を作れれば、長友の良さはもっと生きたはずで、それがゴール前の人数不足解消にもつながったはず。逆に彼のようなベテランが、3バックに対してこういう展開ならもっとボールを前に運ぼうと強く主張してもいいだろう。
■酒井宏樹(マルセイユ/→後半17分OUT)=★★★
長友と同様、攻撃に絡む際のポジショニングとタイミングの問題。的確なクロスを入れるシーンも見られたが、その攻撃力が十二分に生かされたとは言い難い。本来であればより高い位置でプレーに絡み、前方の堂安を押し上げ、自らがオーバーラップをして攻撃に厚みを加えたかった。
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金田喜稔
かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。