王国ブラジルと、かつての黄金期超えを果たしたコロンビア 耳目を集める一戦が幕を開ける
ブラジルは、中盤のアンカーを担うルイス・グスタボが累積警告によって出場停止だ。守備の要を失ったルイス・フェリペ・スコラーリ監督は、メンバーを入れ替えるだけでなく、システムも変更しようとしているようだ。「4-2-3-1」の基本フォーメーションから「3-5-2」または「4-3-3」への変更を示唆しているという。
対するコロンビアは、けが人も出場停止もなし。ベストメンバーでこの一戦に臨める。ただ、ホセ・ペケルマン監督は、ウルグアイ戦で先発したツートップの一角ジャクソン・マルティネスを下げて中盤の人数を一人増やし、システムをワントップに変えることも検討しているようだ。
この試合、注目せざるを得ないのは、エース対決だ。今大会、勝ち残っているチームは、当然のごとくエースが躍動している。アルゼンチンはメッシが試合を決めるゴールと、アシストを積み上げている。オランダはロッペンがドリブルで強豪をなぎ倒し、ベスト8にまで進出している。ブラジルと、コロンビアも例外ではない。
ブラジルは悲願の地元優勝という、国民からの大きな重圧との戦いを強いられている。だが、中盤の創造性は歴代の代表チームに比べても乏しいと言わざるを得ない。チーム全体がかみ合わない苦しい状況が続いているが、ネイマールが何とかそのチームを勝利に導いている印象が強い。トリッキーなドリブルだけではなく、得点力も兼ね備える背番号「10」は、現在4ゴールを決めて得点ランク2位につける。チリとの死闘を制したPK戦でも、プレッシャーがかかる中でゴールネットを揺らした。
そして、コロンビアには、今大会の活躍でワールドワイドな注目を集めている新星ハメス・ロドリゲスがいる。コロンビアの背番号「10」は現在5ゴールを挙げて得点ランク1位につける高い得点力がある。左足で自由にボールを操るコロンビアのエースは、ネイマールのようにドリブルにもたけ、周りの選手を生かす能力も高い。「バルデラマの後継者」と呼ばれているが、万能性で言えば本家以上の輝きをすでに放っている。何よりバルデラマを中心に16強進出を果たした、90年イタリア大会の同国のこれまでの最高成績をすでに超えている事実からもそれが証明されている。充実のときを迎えた新星の輝きは、名手がそろうブラジル相手でもかすむようなことはないだろう。