日本代表初選出の19歳“新世代GK” 「日本トップ3」の技術的評価と怖れなき強心臓
ACLでも輝きを放った広島GK大迫敬介、真骨頂は正確なキャッチング
あー! あぁ……。
不安に満ちた叫びが安堵のため息になって、J1リーグ開幕戦(清水エスパルス戦)のエディオンスタジアム広島を包んだ。前半20分、左サイドからフワリと上げられたクロスに対して、GK大迫敬介が目測を誤った瞬間が叫び。その裏に飛び込んだ清水FW北川航也のシュートが不発に終わった時が、安堵である。
実は大迫は、鹿児島キャンプでのトレーニングマッチでも、ゴール前に上がったハイボールをミスして失点につながったことがある。さらにAFCチャンピオンズリーグ(ACL)の大邱FC戦でも、同じように目測を誤り、触ることもできなかった。こういうプレーが、大迫に対する「ハイボールの処理が不安」という評価につながった。
だが、広島の澤村公康GKコーチは大迫について、こう語っている。
「おそらくエアバトルについては、日本のGKの中でも3本の指に入っている選手ですよ、敬介は」
この言葉を開幕戦直後に聞いたとしても、「期待値を込めて」という反応にしかなるまい。しかし、今は違う。広島の絶対的な守護神として、2015年に平均失点「0.88」という偉大な記録を打ち立てたGK林卓人もハイボールには強いが、大迫からも同じような絶対的な強さ・高さが感じられる。
真骨頂は、なんといってもキャッチングだ。アウェーのACL大邱戦は、相手サポーターが激しくプレッシャーをかけてくるスタジアムであり、広州恒大もその圧力におされて1-3と敗れている。そういうなかで大迫は、入ってくるハイボールに対してことごとくキャッチを続け、「10〜11回は放り込まれて、パンチングは1回だけ。あとはすべてホールドしています」(澤村コーチ)。小雨も降り、ピッチは濡れていてボールも滑りやすくなっているにもかかわらず、確実にキャッチしていく。相手にはKリーグを代表するエアバトラーであるFWエドガルがいたが、その存在をまったくものともしなかった。