日本で起こりがちな“監督の言葉”による「判断力の低下」 U-20代表も前半は思考を放棄

情報は選手にとって有益だが、判断しなくなるなら“ノイズ”になる
情報は有益だ。日本もそれを使って劣勢を盛り返せた。ただし、フィールドで判断するのはあくまでも選手。それがサッカーの鉄則で、選手が判断しなくなってしまうなら情報はむしろ“ノイズ”になる。自分の目より情報に頼ってしまったのは、前半の反省点である。
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名古屋と同じく、U-20日本代表もハーフタイムに修正できている。影山監督はかなり強い口調で喝を入れたようだ。
ボックス脇を狙うのは、このチームが継続して行ってきた攻め手にすぎない。そこにセンターバックに難があるという情報が重なったことで、判断の最優先がそれになってしまったわけだが、日本チームに起こりがちな現象ではあると思う。指摘されれば修正する力はある。ただ、できることを放棄していた前半が0-1だったのは、いくぶん幸運だったかもしれない。
一方、上手くいかない前半を1失点で我慢できたのは良かったとも言える。長所と課題が入り交じった、初戦らしいと言えば初戦らしいゲームだった。
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西部謙司
にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。