雌伏の時を経て初のなでしこ女王へ 歓喜の瞬間を噛みしめた“緑の心臓”
阪口にとっては念願のリーグ初優勝
明るいキャラクターと笑顔とは裏腹に、苦しんでいたものを乗り越えてのタイトルだった。なでしこリーグで5年ぶり13回目の年間優勝を果たした日テレ・ベレーザの中心、なでしこジャパンMF阪口夢穂は、念願のリーグタイトルに安堵の表情を見せた。
「ベレーザに移籍して初めてのリーグ優勝で、素直に嬉しく思います。皆が同じ方向を見て戦えました。試合に出られない選手もたくさんいる中で、皆が同じように一つの目標に向けて毎試合に臨んでいたことが大きかったと思います」
大阪府出身の阪口は、2003年にスペランツァFC大阪高槻から16歳でデビュー。その後、日本女子サッカー界で関西の名門だったTASAKIペルーレFCに加入し、若くしてレギュラーを獲得していた。08年の北京五輪でも全試合に出場したが、その年限りでTASAKIが休部。プレーする場所を失った阪口はアメリカに新天地を求めたが、左膝前十字靭帯を断裂する大怪我でわずか2試合の出場。10年にアルビレックス新潟レディースに加入して国内復帰を果たした。そして、12年からベレーザでプレーしている。
なでしこジャパンで中心選手としてプレーしながら、ベレーザ加入以来リーグ戦での成績は3年連続の2位だった。そして今季、初めての栄冠を手にした。意外にも思えるが、なでしこリーグのタイトルは阪口にとって初めてだ。
今季は6月から7月にかけて、なでしこジャパンの一員として女子ワールドカップ・カナダ大会に出場し、準優勝に大きく貢献した。一方で、シーズンの最中に大きな国際大会が入ったことは、精神と肉体双方に大きなダメージを与えていたという。
「(ワールドカップもあった厳しい日程のシーズンで)正直サッカーがしんどいと思う時もあったんですが、こうして優勝して皆と喜び合える瞬間が待っていたのでプレーをしてきて良かったと思いました。ワールドカップが終わってチームに戻ってからは優勝するというのが自分の中での一番の目標で、どこでもリーグ優勝したいと言ってきて、それが現実になって良かったです」