なでしこリーグ完全制覇を成し遂げたベレーザ 名門を支えた主将・岩清水の思い
カナダでの涙を糧に
この5年ぶりのリーグチャンピオンとなったベレーザを支えたのは、岩清水を中心とした堅守だった。小気味よいパスワークで崩していく攻撃の印象が強いベレーザだが、今季のレギュラーシリーズ18試合で喫した失点はわずかに9だった。もちろん、リーグトップの堅守で、一桁失点はベレーザのみ。実に、2試合に1失点の割合という驚異的な守備力を発揮した。2失点を喫したのは、1試合のみで無失点試合は10試合にのぼる。そして、41得点もリーグ首位。まさに、優勝するべくして優勝した。
岩清水自身は、6月から7月にかけて行われた女子ワールドカップカナダ大会になでしこジャパンの守備の要として出場した。2大会連続の決勝進出に大きく貢献したが、決勝のアメリカ戦では前半から失点に絡んで交代。試合途中でピッチを退き、責任を感じて涙にくれた。
それでも、そこから気持ちを立て直してリーグ優勝につなげた。下部組織のメニーナ出身で10代後半の若手選手もレギュラーとしてプレーする中で、29歳の岩清水は経験を生かしてチームをまとめた。そんなベレーザの大黒柱は、周囲への感謝を忘れない。
「今日はたくさんのサポーターに来てもらいましたし、いろいろなスタッフが今日に向けて準備をしてくれて、その人たちの準備を無駄にすることなく優勝できたことがよかったです」
レギュラーシリーズとエキサイティングシリーズの完全制覇を成し遂げ、今季の残るタイトルは連覇の懸かる皇后杯のみ。ベレーザがタイトルを独占してきた時代を知るキャプテンが、緑の女王をまとめ上げている。
【了】
サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images
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